稽古初日
歓迎会から一夜明けた朝、朝食を終えて俺達は稽古の準備に取り掛かっていた。
「よし、みんな準備はできたな、それじゃあ今から稽古を開始する。今日からケイトとイザベルも参加するからみんな頼むぞ」
「はい」
「おう、それじゃあ早速始めようぜ」
今日からケイトとイザベルも稽古に参加する事をシーナ達に告げると俺はケイト達にも声をかける。
「それじゃあケイト、イザベルこれが2人がいつ来てもいいように用意していた木剣だ」
「へえ、結構軽いわね」
「これは振りやすいですね」
「これに慣れてきたら2人にも真剣を渡すが今はそれで修行をしてくれ」
とりあえず2人の為に用意した木剣を渡すと俺は改めて稽古をする事を4人に告げる。
「それじゃあ、早速稽古を始めるぞ!」
「はい!」
「おお!」
「2人は真剣での素振りから始めてくれ、俺はケイト達に木剣での素振りを教えるから」
シーナとジョーンはもうこの稽古の流れになれているし、自主稽古にして俺はまずケイトとイザベルに指導をする事にした。
「それじゃあケイト、イザベル2人は木剣での素振りになるからまずは俺が手本を見せるからその後にやってくれ」
「ええ、分かったわ」
「お願いします」
俺はまず木剣での素振りの手本をケイト達に見せて、一通りの動きを見せ終えると今度はケイト達にするよう促す。
「今の動きをふまえて今度は2人が素振りだ、とりあえずやって見せてくれ」
「ええ」
「はい!」
俺に促されて2人はまず素振りをしてみせた。ふむふむ、2人共筋はいいな。俺の説明と動きを見せただけで飲み込んでいる。
「そこまで!2人共初めてにしては筋が良かったぞ」
「本当!やっぱり私くらいになると剣技もすぐに身に付くのね」
「そうですか、私はケイトをお守りする為に護身術も学んでいたので、それで多少短剣を扱った事もあったからかもしれません」
「まあ、それだけじゃないと思うけどな、ん?イザベル、何で今ケイトって呼んだ?」
今道場には俺達しかいないはずだがそれにも関わらずイザベルはケイトと呼んでいた。俺が疑問を投げかけるとイザベルが返答をする。
「あまり大きな村とはいえませんし、誰が聞いているか分かりませんからね」
「そうだな、いきなり道場に誰か訪ねてくることもあるかもしれないしな」
「それに今はケイトも私も御師様の弟子という同じ立場ですし、卒業までは同じ立場でいて欲しいというケイトの希望でもありますから」
「ええ、今は私もイザベルもあなたの弟子だし、名前で呼んでもらう方がシーナちゃん達にも変な気を遣わせないかなって思って」
主従といえど今は同じ立場でいたいケイト、やっぱり2人はいい友人かもな。




