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閑話 離脱したユリ

 リッキーを追放した勇者マルスは度重なるクエストの未達成でギルドへの支援金の打ち切り、そして自身とパーティーがA級への降格の危機があるとギルド長に告げられあるクエストに挑み、どうにか達成していた。


「はあ、はあ……見たか!俺が本気を出せばこんなクエストくらい……」

「でも……マルス、みんな魔力も体力も尽きかけるギリギリだったわ、さすがに何度もこれは無理があるんじゃないの?」

「私もそう思う自己回復能力があるあんたはいいけど、私達は本当にきつかったわ」

「だから俺が前面に立って、敵からのダメージを全部受けてやったんだぞ、本当なら俺の役目じゃないんだが、なにぶんお前らが貧弱だからな」


 マルスはメイ達を貧弱であると言い放ち、それに対してユリが言葉を発する。


「……そうですね、私達はマルス様に守っていただかなければすぐに蹂躙されてしまうか弱き生き物ですからね」

「分かっているじゃないかユリ、大体メイもサラも最近文句が多いぞ、ユリのような素直さを少しは持ってくれ」

「何よ、私やサラはマルスがおかしい事をしようとしているから苦言を呈しているだけなのに」

「そうだよ、それにさ私もそりゃああんたほどじゃないけどみんなを守る為に全面で戦っているからね」


 メイやサラの発言に対して文句が多いと主張するがそれに対しメイ達も反論すると更にマルスが言葉を返す。


「俺はな勇者としてS級でい続けるのがまず肝要だと思っている。とりあえず今回のクエスト達成で首の皮が繋がったんだ。次もしっかりと成果を出せばギルド長だって考え直すだろうよ」

「そんなに上手くいくかな……」

「俺を信じろ、勇者たる俺が間違える事なんてねえから、そういうわけで今日は解散」


 マルスはパーティーの解散を呼びかけ1人夜の街へと飲み歩きに赴いた。


 マルスは酒場で女性に酌をされながら飲酒を楽しみ満足すると酒場をあとにするがそこで信じられない光景を目にする。


「あーーー楽しかったーーー!やっぱ勇者たる俺はこうでなくちゃ……ん?あれはユリ!それにあいつらは!」


 マルスはユリの姿を見るとそこにいる男達にも見覚えがあるようで、思わずユリの元に駆け寄っていった。


「ユリ!どうしてここに、それになんでこいつらと一緒なんだ」

「マルス様、見られてしまいましたか、マルス様、私は勇者パーティーを辞めてこの人達とパーティーを組む事にしました」

「待てよ、そんな事を勝手にしていいと思っているのか、それになんでこいつらなんだ?」

「ギルドには今日、離脱申請をしております、あとはマルス様のお心次第です」

「そんな事俺が認めるわけないだろう、そもそも俺のパーティーを抜けてこいつらと一緒に行くのが理解できないな」

「お認めにならないのなら、マルス様がメイ様という恋人がいながら私やサラ様との不貞行為があったことをギルドに報告します、まあそうなればマルス様はもちろん、私もただではすまないでしょうけどね」

「こ、この俺を脅すというのかどうしてそこまでして……」

「マルス様、あなたはもう堕ちていくのみだと感じ、そしてこの方々はいまや若手の期待なのです。私はか弱き生き物ですからよりお強い方に守られないと蹂躙されますので」


 マルスとの関係を暴露すると言い放ったうえもはやマルスは堕ちていくのみと告げると冒険者の男が更にマルスに対して告げる。


「そういうわけだ、あんたがおとなしく退いてくれたら俺達だって何も言わねえ、それにな俺達もヒーラーが辞めて、欠員を補充したかったんだ」

「くっ……、そこまで言うなら勝手にしやがれ」

「ありがとうございます、今までお世話になりました」

「じゃあさユリちゃん、飲みに行こうか」

「ええ、私酔うとどうなるか分かりませんよ」

「乱れたユリちゃんもさ俺達見てみたいんだよ」

「そうですか、それじゃあお言葉に甘えて」


 ユリはそのまま冒険者達と夜の街に消え、マルスはその場に立ち尽くすほかなかった。そしてマルスはユリからの暴露を恐れユリの離脱を認めるほかなかった。

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