歓迎会の為の獲物
今日の稽古を終えて夕食の準備を始めようとしたが、その際にシーナが声をかけてきた。
「師匠、せっかくなので、今日はケイトさんとイザベルさんの歓迎会をしませんか?」
「歓迎会か、いいが特に何も用意はしていないな」
「それなら大丈夫です、ちょっと森まで行って獲物を獲ってきますから」
「修行の後にか?疲れているだろうし、もうすぐ暗くなるぞ」
俺の発言を受けて、ジョーンも俺とシーナの会話に入ってくる。
「師匠、それなら俺も行くぜ、それなら問題ないだろう」
「ジョーンもか、分かった?だけど何も獲れなくても暗くなる前に帰って来いよ」
「はーーい、それじゃあジョーンさん行きましょうか」
「おう、待ってろよ、とっておきのを獲ってきてやる!」
その言葉と共に道場を出てシーナ達が森に向かうと、とっておきという言葉に疑問を抱いたケイトが俺に声をかけてくる。
「とっておきのを獲るって何なの?」
「ああ、シーナは時々森に行ってでかい魔物を獲ってくる事があるんだ、それで俺達だけで食べきれない分は村人にも分け与えているから、その事を言っているんだろうな」
「そうなのね、やっぱりシーナちゃんすごいわ」
「さあ、シーナ達を完全にあてにするわけにはいかないし、俺は俺で夕食の準備をしないとな」
シーナは張り切っているが毎回獲れるとは限らないし、俺もとりあえず夕食の準備は進める事とする。
「御師様、私もお手伝いします」
「いや、今日は2人の歓迎会なんだし座って待っていればいいさ」
「お嬢様の口に入るものですし、私としてもいろいろ確認しておきたいのです」
「毒とかは入ってないし、一応新鮮な食材なんだけどな、まあイザベルがどうしても心配で仕方ないなら手伝ってもらうか」
イザベルはケイトの口に入るものが心配のようだし、とりあえず俺の料理を手伝ってもらうか。
「あの料理はいつも御師様が?」
「まあ、そうだな、シーナもジョーンも料理はできるが、基本的には俺が2人の身体の事も考えて作っているな」
「そうなのですね、これまでお1人で大変でしたでしょうし、お嬢様の事もあるので私もこれからご一緒にさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「そうだな、イザベルが手伝ってくれるなら少しは負担も、いやこれからは5人分作るし、あんまり変わらないかな」
なんにせよ、5人分の食事の準備は1人では大変な事もあるし、イザベルが手伝ってくれるならそれはありがたいな。そう考え夕食の準備をしているとシーナの声が聞こえてきた。
「師匠!とっても大きい魔物がいたので獲ってきました!」
おいおい、なんてでかい奴を獲って来たんだ!5人でも食べきれなさそうだし、村人に分けて村人を巻き込んだ歓迎会でもするか。




