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稽古時間以外の修行

 ケイトとイザベルに俺達の修行の様子を見学してもらい、ついにその日の修行は終わりを迎えようとしていた。


「よーーーし、今日はここまで!2人ともお疲れさん!」

「はあ……はあ……ありがとうございました……」

「はあ……はあ……くそ!今日も1本取れなかったぜ!」


 これは木剣を使った実戦訓練後の2人だが、その様子を見学していたケイト、そしてイザベルが声をあげる。


「す、すごいわね1人づつとはいえ、シーナちゃんとジョーンを続けて相手して防御だけで完封するなんて」

「ええ、ジョーン様の怪力は私も相対して感じていましたが、それをものとはしない御師様はやはりS級にふさわしいお方だったんですね」

「待てよ、シーナは確かにそもそもの実力が足りねえが、俺は槍なら師匠を追い込んでいたんだぜ!」

「でもジョーンさん、槍でも負けたじゃないですか、それにこの間の模擬戦は私がジョーンさんから1本取りましたよ」


 ケイトとイザベルが俺達の実戦稽古に驚いているとジョーンの主張をシーナがあっさりと折り、それに対してまたジョーンが反応をする。


「あれはお前、その……ちょっと腹が痛かったんだよ」

「もう、言い訳はみっともないですよ、私の方が師匠の下で長く修行しているんですし」

「そんな数週間くらいの差で何を言っているんだ、見てろよ、今度は絶対勝つし、そもそもまだ俺の方が勝ち越しているのを忘れるなよ」

「すぐに追い抜きますよ、その為にも同じ稽古をするだけじゃあダメですから」


 シーナの発言を聞いて、ケイトが疑問に抱くとシーナに尋ねた。


「ねえシーナちゃん、ジョーンと同じ稽古をしていちゃダメって?何か別で稽古しているの?」

「あ、はい、実は私たまに森に行って、獲物を獲るのに弓だけじゃなくて剣も使って実戦感覚を養っているんです」

「そうなの?熱心ねシーナちゃんは、もしかしたら本当にジョーンを追い抜くかもしれないわ」

「シーナ、稽古とは別で修行しているのはお前だけじゃないんだぞ!俺も魔物退治の仕事を師匠と一緒にした時は剣を使って退治しているぞ」


 2人は俺との修行以外でも剣に触れる機会を自主的に作るようになった。本当なら魔物討伐とかは慣れた武器を使いたいんだろうけど、しっかりと剣技を身に付けたい2人の意志の表れだろう。


「分かってますよ、ジョーンさん、それでしっかりと魔物を討伐できているじゃないですか」

「お前だって、しっかりと獲物を剣で仕留めてそれを村人に分け与えているんだろう大したもんだぜ」

「あれ?お互いの自慢していたと思ったら、褒め合っている?何なの?」


 競争心もあるが互いの努力にしっかりと敬意がある。この2人は本当に教え甲斐があっていいな。

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