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見学をすると

 ようやくケイトとイザベルが俺達の村にやって来て弟子入りをすると言う事で今日から俺達の道場に住む事となった。初日と言う事でとりあえず2人には修行の様子を見学してもらう事とし、道場の端の方で座ってみてもらう。


「そこで座って修行の見学をしていてくれ」

「ええ」

「はい」


 ケイトとイザベルが見学する事を了承してくれると俺はシーナとジョーンに稽古を始める事を告げる。


「それじゃあ今日も稽古を始めるぞ」

「はい!よろしくお願いします」

「おお!張り切っていくぜ!」


 2人共一応新弟子が見学しているからかいつもより気合が入っているな。だが稽古の流れはいつもと変わらない。


「それじゃあ今日も素振りから行くぞ、2人共真剣は持ったな?」

「はい」

「いつでもいいぜ」

「それじゃあ始め!」


 俺の掛け声でシーナとジョーンは真剣での素振りを開始した。だがその様子を見ていたケイトから俺に対して疑問の声が投げかけられた。


「ねえ、ちょっと待って⁉あなたの道場は真剣で素振りをする方針なの?」

「そうだな、でも心配するな。ケイト達はまずは木剣での素振りから慣れてもらうから、素振りを見て大丈夫そうだと判断したら真剣の素振りに移る方針だからな」

「そうなの、でも剣の修行ってこう見るとすごいわね」

「まあ建物の中で真剣を振り回しているからな」


 俺はさすがに少しは物騒な事をやっている自覚はある。だけど2人が自分の目的の為に剣を習いたくて必死だから、多少は実戦に即した修行もしている。真剣の素振りはいわばその基礎的な修行だと思ってさせている。ところがケイトはまた別の観点からすごさを見出していたのだ。


「すごく可愛いと思っていたあのシーナちゃんが剣を握っている時はなんというか勇ましくも感じるし、畏怖さえ覚えるわ」

「シーナの言葉で俺はこの村で剣技道場を始めたからな。彼女の熱意は本当にすごかったよ」

「そう思わせたあなたの剣がすごかったんじゃないの、腕はあったのに結構理不尽な理由で追放されたようだし、また生きがいを得ていきいきしているように私には見えるわ」

「俺がか?剣の指導が生きがいかどうかはともかく、俺の培ったものを伝えられるのは嬉しいかな」


 シーナの発言がきっかけで俺は剣技道場を開いたが、まだこれが生きがいと言えるものかどうかは分からないな。シーナ達が俺の教えた剣技で何かをなせば少しは考えが変わるのかな、そう思いながらも今はみんなに少しでも剣技を身に付けたくひたすら修行をつける事が大事だと俺は思った。

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