村に来た令嬢
ザックさんより魔物討伐の報酬を受け取り村に帰る途中でケイトとイザベルに出会った。なんでも俺達が住む村に向かう途中で道に迷ったという事で俺が2人を案内しながら帰る事になった。その道中でさっきまでザックさんから報酬を受け取る為に街まで行っていた事を話す。
「そうなのね、そのザックさんって人、私達が依頼を受けた村が故郷だったのよね」
「ああ、村長もザックさんにお礼の手紙を送っていたし、俺達に依頼してくれた事を感謝していたな」
「私もそのザックさんに感謝したいわ、あなた達がいなければ退治は無理だったもの」
「それなら今度、一緒に野菜を売りに行くか?ザックさんは俺の野菜を買ってくれるお客さんでもあるしな」
商人であるザックさんだが、俺の野菜は純粋にお客さんとしてよく買ってくれるのだ。
「あなたと一緒に?うーーん、せめてシーナちゃんも一緒に行くんだったらいいわよ」
「すっかりシーナがお気に入りだな、部屋は違うが一緒に暮らすことにはなるけど……」
「あ、そうか!あなた達もだけどシーナちゃんも私達と一緒に暮らすのよね、ん?部屋が違う?もしかして私達の部屋も作ったの?」
「ああ、時間がなかったから2人で1部屋にしたその代わり俺達の部屋より広めにはしてある」
ジョーンを中心に突貫工事みたいになったが密かに俺達はケイトとイザベルの部屋を作っていたのだ。そしてそれについて詳しく話す。
「ジョーンが建築が得意でな、2人で1部屋にしないと早く来た場合に間に合わないと思ってな、物は置いていないから、また必要な物は村の近くの山の石や木を使うか、街に買いに行くのがいいだろう」
「そうね、一応今は私もイザベルも必要最低限の物しか持ってきていないし」
「はい、馬車が使えない山道とも聞いていましたしね、お嬢様も歩くのが疲れて倒れそうでしたしね」
「大げさよ、ちょっと休んだらまた歩けるじゃない、あ、イザベル、村で過ごすときは私の事はまたケイトと呼んでね、正体を知っているのはリッキー達だけでいいから」
とりあえず村ではまたイザベルにはケイトと呼んでもらうようだな、まあそれは無理がないか、ヴァイツ家の令嬢がこの村に来ていると分かればケイト達だけでなく、村人にも危険が及ぶからな。
「おい、2人共見えたぞ、あれが俺達の村だ」
「今日から私達ここで過ごすのね」
「ええ、それもリッキー様から剣の修行をつけていただきながらです」
「そっか、……じゃあ今日から私達もあなたの事を師匠と呼ばせてもらうわ、よろしくね師匠」
剣技の弟子がケイトとイザベルが加わり4人となった、また新しい日々の始まりだな。