修行勧誘
ケイトとイザベルが俺の案を受け入れてくれたが、ケイト達との連絡方法をどうするか悩んでいたところ、シーナがケイト達も俺達が住んでいる村に住んで、そこで剣の修行をしてみてはどうかと言ってきた。
「ちょ、ちょっと待てシーナ!ケイト達も俺達の村で住んだうえで剣の修行だって⁉」
「はい、調査するにしてもすぐにお知らせするなら村にいた方がいいと思うんですが」
「シーナちゃん、修行勧誘はすごく嬉しいんだけど、私達は一応踊り子や演奏者としても旅を続けているから」
「ええ、今の私達にとっての資金源ですからね」
連絡を受けるという意味では俺達の村に住んでいるのが一番良いが、ケイト達は踊り子としての旅も続けているからな、それをどう続けていくかも問題だ。
「ええっと、私達の村に住んでいて依頼があったら現地に行くという形ではダメなんですか?」
「え?依頼の受け口を村に?」
「確かにそれなら村に住みながら依頼は受けられますね、私達は今の所旅先で名を売って拡げている形ですし」
彼女達が名前を売っても犯人側の商家から何かしらのアクションがなかったのはケイトと言って親しい人物しか呼ばない愛称で活動を続け、従者であるイザベルはそのまま本名で活動ができたという事か。
「それに今のケイトさんイザベルさんも強いとは思いますが剣技を身に付けておけばより身を守れますよ」
「剣技の修行、シーナちゃんと一緒に修行できるのは嬉しいし、この先の事も考えればありなのかも」
「私としてもお嬢様をお守りしなくてはいけませんし、剣技というのも身に付けて損はなさそうですね」
「ちょ、ちょっと師範の俺を置いて勝手に話が進んでいるから、この際言っておくが弟子入り希望なら受けるし、ただ他に家がないから道場で住んでもらうがいいか?」
弟子入り希望するならば俺としては断る理由はないが、住む場所の提供は道場しかできないからそこは慎重に考えてもらおう。
「どうしますお嬢様?」
「シーナちゃんと一緒に住めるのはいいけど、この男はね、ねえ?ちゃんと部屋割りはしてあるの?」
「おい、俺と住むのが不満なのか?」
「リッキーは紳士そうだけど、あんたは何かその辺デリカシーがなさそうだしね」
「な……」
「部屋の増築はしておくからその間に教会やお母さんに一言言っておいた方がいいんじゃないのか?」
「そうね、教会の人や母には報告が必要ね、それじゃあ一度ここでお別れね、じゃあまたね」
「いろいろありがとうございます。失礼します」
ケイトとイザベルは一度教会やお母さんへの報告の為、離れる事にした、とりあえず俺は今回依頼のあった村から俺達の村までの地図を渡し、俺達も村に戻って行った。




