表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/106

ヴァイツ家の凋落

 ケイトが本名はキャスリン・ヴァイツでイザベルもケイトの家に使えていた身であるという事を話してくれた。そしてヴァイツ家の令嬢であるはずのケイトとその従者のはずのイザベルが何故旅をしているかという疑問をシーナがぶつけた。


「でも、そのヴァイツ家の娘さんがどうしてその踊り子をしながら旅をしているんですか?」

「シーナちゃんは知らないのね、私達の実家がどのようになっているか……」

「え?」

「いいわ、それも話さないといけない事だしね」


 ヴァイツ家、この国でも有数な商家の1つではあったが、ある出来事をきっかけに凋落したという事を聞いた事がある。その辺りの事を今からケイトが話してくれる。


「ヴァイツ家は確かに大きな商家だし、私はその家で生まれ育ったの。多分ゆくゆくは私が家を継いで商売していたと思うの、()()()まではね」

()()()?」

「ある時、国の偉い人が兵を引き連れて私の家に来たの、その際に父は他国に武器を横流ししているんじゃないかという情報が入り、それを理由に連行された」

「その話なら俺も聞いた事があるぜ、ヴァイツ家は武器の売買もしていたし、その話を聞いた時には驚いたよな」


 俺もそれには驚いたな。冒険者や傭兵、もちろん王宮にも武器を卸していたというし、ヴァイツ家のおかげでこの国には強力な武具が多いという事は冒険者にとっても常識だからな。


 ヴァイツ家が雇った職人がマルスの為に勇者の剣を作ったくらいだからな。


「ケイトさんのお父さん、そんな悪い事を……」

「もちろん、そんなのは濡れ衣よ、王宮がお得意さまである父がそんな事をする理由がないもの、だけど……」

「だけど……何ですか?」

「取引の際に父が使っている印が使用された、それが証拠となっていくら無実を訴えても信用されなかったの」


 取引の際の印か、本人は取引をした証拠として認められてしまえば、それは決定的になるな。だけど待てよ、そんな重要な物を本人以外に誰が使えるんだ?


「ケイト、その印は本人以外に使う事ができるのか?」

「印自体は父しか持っていないから無理よ、だけど別の取引をすると見せかけて父から承認をもらって後で取引内容を書き換えれば……」

「だったらその偽取引を持ち掛けた奴が犯人だろう、心当たりはないのか?」

「ありすぎて困っているのよ、なんせその後ヴァイツ家は財産没収の上商家を解体、お抱えの商人や職人はみんな他の商家に行ってしまったから、彼女以外は」


 これで分かったぞ、ケイト達が何故旅をしなくてはいけなかったのか、まず家を失ったからであり、そしてもう1つは……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ