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ヴァイツ家の令嬢

ケイトはイザベルが思わず口走った事もあり、俺達に自分の素性を話す事にしたのだ。その際、ケイトは自分の本名をキャスリン・ヴァイツと名乗り、俺はそのヴァイツの名に驚きを隠せないでいた。


「まさかケイトがあのヴァイツ家の令嬢だったなんて、いや、だが……」

「師匠、師匠はそのヴァイツ家を知っているんですか?」

「知ってるも何もヴァイツ家はこの国では有名な商家の1つだ、まあエルフで人間社会に詳しくないシーナが知らないのは無理もないが」

「商家というのは?」


 そこからの説明になるのか、仕方ない、俺と出会ってからいろんな人と接するようになったからしっかりと教えないとな。


「商家っていうのは、商売、まあ物の売買を生業にする家の事を言うな」

「それってザックさんのような人を言うんですか?」

「いや、あの人は個人でやっているに過ぎないからな、もっとこう家単位での商売なんだ」

「だけどケイトさん、それほどいい家のお生まれなのに、どうして踊り子をしながら魔物討伐を……」


 シーナはケイトの生まれた家の良さを理解し、その事に疑問を感じるとケイトが優しく声をかける。


「シーナちゃん、今からどうしてそうしているかを話すの、シーナちゃん達にちゃんと私達の事を知って欲しいから」

「はい、分かりました」

「リッキー、あなたの言うようにヴァイツ家は国内でも有数な大商家で私はその家の子として生まれ育ったわ」

「ああ、そうするとイザベルは?ケイトの事をお嬢様って呼んでいたようだし」


 イザベルの事も一応俺は聞いてみる事とし、その疑問にもケイトが答えてくれた。


「イザベルは父の部下の娘で、父の勧めで幼い頃から一緒に商売やいろんな事を一緒に勉強した仲よ」

「そのいろんな事の中に踊りや演奏が含まれていたわけだな」

「ええ、お嬢様は踊りの方のセンスも高く、商家の集まりの際は余興としても披露しました」

「その際もイザベルが演奏してくれたのよね」


 2人の話を聞いて少しだけ合点がいったな、お嬢様と本当は呼んでいたから、当然上下関係もあっただろうが、ケイトのイザベルに対する気安さやイザベルも呼び捨ては指示だろうけど、そこを抜いてもしっかりと旅の仲間として意見しているような感じはあったし、かなり友人に近い関係で育ってきたんだな……。


「師匠どうしましたか?急に物思いにふけるような顔をして」

「いや、なんでもない……」


 助け合ってきたのは同じはずなのに、俺とあいつ、そして彼女達の違いを痛感して少しだけ、寂しくも感じたな。

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