聞こえた音
巨大、そして夜行性であるという情報から俺達はある程度その魔物を絞り込み、進行予測ルートに入っている村の近くで待機しながら対策を話す事とした。
「それで師匠、そんな魔物とどうやって戦うんだ?」
「うーーーん、まあ俺はドラゴンを倒した事もあるからそれ程の相手ではないと思うが……」
「待てよ、今さらっとすげえ事言ったな」
「私も少しですがお手伝いしましたよ、まあほとんど師匠のおかげでしたが……」
俺ならゴーレムにしろサイクロプスにしろいざとなったらソード・ザ・ブレイキングで倒せるが、あんまり奥義を毎回使っていると元勇者パーティーの噂が立ちかねない。あ、そうだこの討伐が終わったらケイト達には俺の事は口止めしておこう。
「2人共聞いてくれ、俺がソード・ザ・ブレイキングを使えばおそらく一撃で倒せる魔物ではあると思う」
「さすがです師匠!」
「だからすげえ事をさらって言うなっての」
「だが、毎回奥義を使えば俺の存在が認知されることになる、可能な限りそれは避けたい」
俺がなるべくなら奥義を使用せずに魔物を倒したいという主張をするとそれに対しジョーンが抗議をしてきた。
「あんたがまた自分の名を世に出したくねえのは分かるがその為に被害が広がるのを見過ごすのはさすがに許容できねえぞ!」
「俺は可能な限りだって言っている。奥義なしで倒せるなら倒すし、理想としてはシーナやジョーン、後はケイト達の誰かが倒せればいいと思っている」
「簡単に言うが、俺はそんなでかい魔物との戦闘経験はないぜ」
「私もです、なにか対策があるんですか?」
巨大な魔物との戦いの経験もないのに、いきなり撃破しろはさすがに無茶だよな。もちろん俺の知る限りの対策は2人にも伝授するつもりだ。
「もちろん、無策で戦えとは言わない。一応自分より大きい、もっと言えば体格が2倍以上の相手との戦い方を教える」
「よろしくお願いします」
「で、どうすりゃあいいんだ?」
「まずは……」
とりあえず2人には地形等の利用の仕方、場合によっては建物や木によじ登り目を狙って動きを封じるのが最も倒しやすい方法を教えた。
目のないゴーレムに対しては水が弱点である事を話し、シーナに確認を取る。
「シーナ、そういえば水魔法は使えるのか?」
「一応基礎的なものは使用できます」
「そうか、試しに使用しても倒せなかったら俺がソード・ザ・ブレイキングを使う」
「分かりました」
「しかしよう、夜になって俺達がこうやって話しているのにまだ魔物は現れねえな」
「そうで……ん?師匠、ジョーンさん、イザベルさんの演奏です」
イザベルの演奏?向こうに現れたか!