戦わずに守る
シーナ、ジョーン、ケイト、イザベルの4人は俺の代理として現在ある村の魔物討伐に来ていた。俺も彼らが心配でばれないようにこっそり後をつけている。4人はダンジョンを見張っていたが、夕食を食べる為にジョーンとケイトが村に戻ってきて夕食を食べながら何やら話をしている。
「食べ終えたら今度はシーナちゃんとイザベルに代わって、シーナちゃん達が食べ終わったらしばらくは4人で見張るのよね?」
「ああ、そいでさっきイザベルが宿に許可を取ってくれたし、そこからは交代で朝まで見張りだな」
「それを冒険者が到着するまでの3日間するのよね」
「ま、そういうこった、なかなか眠れねえが、村に魔物を入れないのが俺達の役割だからな」
とりあえず3日間、シーナ達は魔物を村に入れない為にダンジョンを見張り、ダンジョンから魔物が飛び出したら討伐するのが役割だ。
ダンジョン内での本格討伐は冒険者が担うので、あくまでもダンジョンの外から見張るまでしかできないけどな。
もし俺がこの依頼をそのまま受けていたら1人では無理だったし、誰かしらを同行させていただろうけど、それでも修行になったかは疑問だな。
村人は俺に依頼をしてきていたし、結局は魔物退治は俺がしていただろうから、みんなの修行にはならずに終わったかもしれないな。
そういう意味ではこういう形で派遣してよかったかもしれないな。でも待てよ、もし3日間、魔物が現れなかったらどうする?
……その時は帰ってきた時に修行のメニューを少し増やすか、組手の修行も交えながら。そう考えていたら、いつの間にかジョーンとケイトはいなくなっており、少し時間が経つとシーナとイザベルがやってきた。
「やっと夕食です、お腹がすきましたね」
「ええ、ですがまだ4人で見張る時間は続くので食べ終わったら急いでダンジョンの近くまで戻りましょう」
「そうですね、あのイザベルさん、私少し思ったんですけどいいですか?」
「どうされましたかシーナさん?」
シーナは何か疑問があるらしくイザベルに尋ねているな。何だろう?
「もしこの3日間、魔物がダンジョンから出てこないで後のことを冒険者の人に任せる事になったら、私達にとって何が修行になるんでしょうか?」
「シーナさん、何も剣の腕を磨くだけが修行とは限らないのでは」
「どういう意味ですか?」
「今、私達がこの村を守る為に行っているのも立派な修行です、どうすれば村の被害を抑えられるか、魔物に対してうかつに出たら討伐されるという圧を加えていたりと、戦わずに守る方法を考えるのも立派な修行、きっと御師様はそれも見越していたのでしょう」
すまんイザベル、俺はそこまで考えていなかった、まあ賢い弟子をもって俺は嬉しいよ……うん……。




