作戦会議
どうにか依頼先の村に到着したシーナ達が村長の家で話を聞くと酒場まで移動し、俺も変装しているので酒場に入り、弟子達の作戦会議らしき話を聞く。
「まあ、そもそもダンジョンには冒険者しか入れませんし、私達は近隣の魔物退治をする他ありませんね」
「しかしよう、冒険者はダンジョンで魔物を退治しているはずなのに、なんだってダンジョンの外にも魔物があふれるんだ?」
「最近は冒険者の数も減っているうえにこの辺りはクエストランクっていうのが低いらしいから報酬も安くて駆け出しの冒険者しか来ていないのよ」
「それってやっぱりこのあたりの村は高い報酬が払えないからですか?」
冒険者ギルドのクエストランクは魔物の危険度やクエストそのものの致死率に応じてランクが設定されているが,それはあくまでも建前上の話だ。
実情は依頼主の経済状況やその土地の重要度によって決まっているいうのがほとんどだ。クエストランクに応じて報酬額が設定されるがその報酬を支払うのはあくまでも依頼主で依頼主がそれほど多く報酬が払えなければクエストランクが低く設定される。その周辺に危険な魔物が生息していてもだ。
逆に王都や経済都市と言われるほど発展している都市の周辺のクエストは高く設定されている。王都や経済都市は一応軍に守られているにも関わらずだ。
実はこのあたりの依頼の件でマルスと衝突した事は何度かある。高額報酬の依頼を受けたがるマルスと、辺境にいる危険な魔物を退治するべきという俺は何度も意見の食い違いが生じた。結局メイやユリがマルスを支持した為、なくなく俺が折れるという形になってしまったが。
俺が物理攻撃しかできないのもあったが、冒険者としてのスタンスが少しづつずれていった事も俺が追放される一因になっていたんだろうな。だけど昔はマルスも危険を冒してでも辺境の村を救う為の正義感や使命感は少なからずあったのにな……。
おっと今は感傷に浸っている場合じゃない、さあみんなはこの周辺の魔物退治をどうするんだ?
「じゃあもう1度依頼内容を整理するわよ」
「はい」
「私達はこの周辺での魔物を討伐するけど、あくまでダンジョンから出てきた魔物だけね」
「ええ、それから3日後には冒険者が派遣されるので私達はその間、魔物による被害が村にでないようにするのですね」
冒険者が来るまでの3日間、どうにかシーナ達だけで村に魔物が入らないように討伐してくれ、頼んだぞ。




