尾行する師匠
弟子4人だけの魔物討伐を提案し、出発当日に発った4人がすぐに心配になった俺は村長の助言もあり、4人の討伐を陰から見守ることにした。行先は分かっているし、すぐに俺も出発の準備をして村を発ち、4人の後を追いかけた。
まだ出発してそう時間が経っていないから追いつけると判断し、少し急いで追いかけていた。
「みんなはそこまで急いでいないし、そろそろ見えてくるはずだが……!」
4人の姿が見えたので、とりあえず気付かれないように隠れることにした。
幸いここはまだ山道だし、隠れるにはもってこいだな、山を降りると広い道には出るが、行先は分かっているから、そこは距離をとればいいだけだしな。
尾行しているとみんなの話声が聞こえてくるな。
「それにしてもどういう風の吹き回しでしょうか御師様が私達だけに魔物討伐をさせるだなんて」
「それは実戦訓練もかねてって言っていたじゃない」
「それならば同行していただき、討伐は私達だけでもいいはずです。留守番を御師様が決め込んでいるのが不思議で」
「もしかしたらよう、最近魔物討伐が多くて疲れちまったんじゃないのか?」
みんないろいろ言っているな、だけど俺は留守番を決め込まず、今まさにみんなの後を追いかけている。
「もしかしたら師匠はご自分を当てにしないように考えているのかもしれません」
「シーナちゃん、それってどういう事?」
「例えば、もし私達だけで魔物討伐をするけど同行したとしたら、私達がいざとなったら師匠を頼ってしまう、そういう事を危惧したのかもしれません」
「シーナさん、それは修行の一環ならばそうかもしれません、ですが魔物の強さは分かりませんし、私達の命の危機もあるかもしれません」
俺はあくまでもその時だけ助太刀するつもりで来ているがイザベラはそんなことを知る由もないんだよな。
「確かに強い魔物を討伐できればそれにこしたことはないでしょうけど、今の私達で勝てない魔物が現れたらどうするかも考えろってことも試されていると思うんですが」
「俺達で勝てない魔物?まあいるかもしれねえな」
「そうよね」
「でも師匠は元冒険者でダンジョンの魔物なら強さも把握しているはずですし、その魔物なら今の私達でも勝てると思って、送り出してくれたと思いますけどね」
そうだな依頼先の村の近くにあったダンジョンは昔行ったことがあるし、そこの魔物の強さならみんなで倒せると思い、送り出したからな、だけど万が一という事が頭によぎって、結局俺は来てしまったんだけどな。




