翌日に備え
俺に来た魔物の討伐依頼であったが、俺は4人の弟子の修行の成果を示す場を与える意味を込めて4人だけの魔物討伐を提案した。思わぬ提案に戸惑っている様子を見せたが、全員討伐依頼に前向きになってくれており、受けることを了承してくれる。
そして早速朝から村長は道場を訪ねてきており、俺は4人が修行を受けることを村長に説明する。
「なんじゃと⁉リッキーさんは今回の討伐を受けずに弟子4人に討伐をしてもらうと!」
「ああ、元々俺が協力してもらって討伐する事もありだったし、代理を派遣する事だって問題ないはずだけどな」
「じゃがのお、あくまでも依頼人はリッキーさんの腕を見込んでの依頼じゃし、その4人の実力を疑うわけではないが……」
「この4人だって俺と一緒に魔物退治はしてきてるし、腕は俺が保証する」
もちろん俺だって自分が腕を見込まれたから依頼が来ているのは百も承知だ。だけどその俺がお墨付きを与えた4人であれば問題はないはずだ。俺の代理を十分にこなせると判断しての事だからな。
「仕方ないのう、依頼受諾の件と代理の者が行くことを依頼主に返事しておくわい」
「すまない頼む」
とりあえず依頼は受諾するが代理の4人が行くことを村長は依頼人に告げてくれるようだし、これでとりあえず討伐は行えるな。
「それじゃあ早速だけどみんな明日には依頼先の場所に向かってくれ」
「え?明日すぐにですか⁉依頼人の返事を待たなくていいんですか?」
「あくまで村長がするのはお知らせで、明日経てば村長の返事はみんなが到着するころには届いているし、話は早いし、何より早く魔物を討伐しなくてはいけないからな」
「そうだな、だけど師匠、師匠がこれなくなった理由はどう説明しておけばいいんだ?」
「うーーん、前の依頼でケガをして治療中とでも言っておいてくれ、さすがに弟子の力試しなんて依頼人には言えないからな」
「はあ……私達に仮病だとウソをつかせるんですね……」
「すまない、イザベル」
仮病だとウソをつかせることをイザベルに突っ込まれあきれられるが、すぐにイザベルは気を取りなおし俺に告げる。
「はあ、まあ仕方ありませんね、私達の為の代理派遣ですからね」
「そうよ、それに師匠は私達のウソにも付き合っているんだし、そこはお互い様でしょう」
「そうでしたね、それじゃあ御師様、明日はお任せください」
そして明日が出発という事でシーナ達はいつもより少し早めに休むことにしたのだ。さあ、今のみんなでどこまでできるのか?




