表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

図書室の付箋と秘密の言葉

登場人物

ケイタ:高校生。図書委員。物静かな性格。

マナ:高校生。ケイタのクラスメイト。読書が好き。



学校の図書室。放課後。

ケイタはカウンターで本の貸出業務をしている。マナが本を借りに来る。


マナ: こんにちは、ケイタ君。

ケイタ: あ、マナさん。こんにちは。

マナ: この本、借りたいんだけど。


マナは一冊の本を差し出す。


ケイタ: はい。(本のバーコードを読み取りながら)マナさん、この作家の本、好きだよね。

マナ: うん、独特の世界観が好きで。ケイタ君も、この作家の本、読んだことある?

ケイタ: …実は、前にマナさんが借りてたのを、気になって読んでみた。面白かったよ。

マナ: 本当?どの作品が一番好きだった?

ケイタ: えっと…『黄昏の庭』かな。主人公の心情描写が、すごく繊細で…。

マナ: 私もあの作品、大好き!ケイタ君と、好きな本の話ができるなんて、嬉しいな。

ケイタ: …俺も、嬉しい。


ケイタは貸出手続きを終え、本をマナに渡す。


ケイタ: はい、どうぞ。返却期限は、2週間後です。

マナ: ありがとう。…あ、そうだ。ケイタ君って、いつも図書委員の仕事、真面目にやってるよね。

ケイタ: そうかな…?当たり前のこと、してるだけだけど。

マナ: ううん、すごいと思うよ。本の整理とか、細かい作業も、丁寧にやってるの、いつも見てる。

ケイタ: …見ててくれたんだ。

マナ: うん。…あ、ごめんね。長話しちゃって。

ケイタ: いや、全然。…もっと、話したい、くらい。

マナ: …!私も。…じゃあ、また。本、読むの楽しみにしてるね。

ケイタ: うん、また。


マナは図書室を出ていく。ケイタはその後ろ姿を見送る。


ケイタは書架整理を始める。マナが返した本を手に取ると、間に付箋が挟まっているのに気づく。


ケイタ: …?なんだろう、これ。


付箋には、見覚えのある字で、こう書かれている。


ケイタ: …!(マナの字だと気づく)


ケイタは、本を棚に戻し、周りを見回す。マナは、窓際の席で、本を読んでいる。その横顔は、いつもより少し大人びて見える。

ケイタは、意を決して、マナの席へ向かう。


ケイタ: …マナさん。

マナ: …!ケイタ君…!付箋、見てくれたんだ。

ケイタ: うん。…あの、俺も、もっと話したいと思ってた。…その、この前借りてた本の感想、まだ言ってなかったし。

マナ: …!うん…!聞きたい。

ケイタ: …この本の最後のページの、この一文、"たとえ世界が闇に包まれても、君の笑顔が僕の光"ってところ…すごく、心に残ってて。その…

マナ: うん…

ケイタ: …マナさんの笑顔も、いつも、俺を…その…明るい気持ちにさせてくれる、っていうか…

マナ: 嬉しい。…私、ケイタ君のそういう、不器用だけど、真っ直ぐなところ…ずっと、素敵だなって思ってたから。

ケイタ: …!


二人は見つめ合う。図書室の静寂の中、二人の鼓動だけが、少しずつ早くなっていく。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ