B、ここはきっぱり断る。
「あー、いえ。プライヴェートな集まりなんで」
正直、ハッチにはプライベートの意味がよくわかっていなく、発音もなんかわざとらしい。
「なんだと! プライヴェートだとー!」
「だとー!」
いきりたつタイチョーとトリマキだったがやっぱりプライベートがなんなのかはわかっていないようだ。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
なんとも言えない沈黙が辺りをつつみ、コウは、あっちゃーとひたいを押さえた。
「あと、宝を手にするにはキーアイテム、この場合スマホがいるんですが、お持ちですか?」
そんな沈黙を破ったのはハッチだった。
彼は知っている。親にナイショでゲームアプリに課金しすぎたせいで、タイチョーがスマホを取り上げられていることを。
「なっ、なっ、な!」
顔を真っ赤にするタイチョーであったが、スマホが無い事実はどうにもできない。
「ちっ! 帰るぞ!」
普段はすぐ起きる語尾取りが起こらない。
「・・・」
そう、トリマキがズボンのポケットを上から撫でているのを見ればわかる通り、彼のスマホは無事なのだ。
「なんだよ、ちぇっ!」
ついてこないのを察したタイチョーが一人大股で去っていく。
トリマキはこちらに合流こそしないももの、後をついてくる。
彼なりに───例えば、分けられるものならタイチョーと分ける、もしくは悔しそうなタイチョーの前で独り占めする───考えがあるのだろう。
「ついてくんなよ」と声をかければ「お前らが先をあるいてんだろ」と返ってくるような距離でついてくるトリマキであった。
P、タッピーが現れた! に進む。