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N、もうここには用はない。帰る。
「うぉい!」
橇を置くや否やまた乗り込んだ年少組に、思わずハッチは突っ込みを入れた。
「あーあ。置いちゃうから」
相変わらずコウは橇を引く気は無いようだ。
それどころか妹にパ○の実を持たせて橇の重さを増やしている。
・・・いや、ほんの数十グラムだが。
「この風んなか持つのもダリいだろ・・・」
人目さえなければ笠のようにかぶるのが一番楽ではあったろう。
・・・新装開店したお店のまわりには人目がたえないが。
「仕方ねー。落ちんなよ!」
「きゃーっ!」×2。
「ちょっと、走んないでよ!」
ハッチの全力疾走はそう長く続かなかった。
途中、コウに申し込んだ引手交代のじゃんけんは全敗だった。
「や、やっとついた・・・」
冒険は終わった。
雪にぬれた宝箱はぐしゃぐしゃだったが、中身は無事だった。
そして無理をしたハッチの腰には魔女の一撃が加えられた。
彼は思い出す、ぎっくり腰になるたびに。
キャッキャと喜ぶ弟たちと、寝てる口に押し込まれたチョコレート菓子の味を。
にあ、ハッピーエンド。
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