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旅立ち

 ゲームブック式のお話です。

 20250117、1:00全話投稿完了。

 遊べます。・・・たぶん。

 

「よっし!」

 ハッチ小学校中学年の男の子である。

 そんなどこにでもいるような少年はスマホをクリクリした後、ガッツポーズを決めた。

 自分が望んでいたものが届いたからだ。

 予想通り、ではあるが嬉しいのには変わらない。


「・・・一番いい装備がいるな」

 窓から見える冬の空はどんよりと雲におおわれ、これから彼がたどるであろう道行きの厳しさを想像させていた。




「厚手の靴下と~、ももひきは~、いいや」

 歌うように確認しながら、タンスの一番上からもこもこした靴下を取り出したハッチは、中程の引き出しの中身をながめるだけにしてで閉めた。

 ももひきは───、なんかアレである。

 決して外側から見えはしないが、なんかダサいのである。

 特に白一色なのがいけない。かといってカラフルさを求めると、それは化繊となりタイツとなってしまい、小学生ダンスィとしてはやはり恥ずかしい。なら素材そのままで色だけ変えれば───、やはりだめである。トイレでの使いやすさを考えれば当たり前の作りは、ブリーフ(白)とほぼ同じで、やっぱり “ダサい” からは逃れられない。


「兄ちゃん、どっかいくの?」

 ふわもこ靴下に履き替え、元の靴下を床に放置し(叱られる準備が整っ)たハッチの後ろから声がかけられた。


「・・・宝を求めに」

「僕も行く───!」

 考えたすえ、正体ぼかしたつもりだったけど、それでもターちゃん=二個下の弟の興味をそらせるのには失敗した。


「結構歩くんだけど・・・」

「ダイジョブ! 宝物のためなら!」

 ふんす! と鼻息をあらげるターちゃんは、こうなると止まらない。

 無理に止めると泣いてしまう。


「温かい格好しろよ。あとスマホ貸せ」

「うん!」

 一番下の引き出しを踏み台にもこもこ靴下を取り出したターちゃんは。

 やはり途中の引き出しを開けなかった・・・。




「よっす」

「うん」

 待ち合わせの場所にいたのはコウ。同じクラスの女子である。家が近所の彼女とハッチは幼馴染みでよく遊ぶ。


「やっぱり?」

「うん」

 うなずいた彼女の腰のあたりから、ぴょこっと顔を出したのはサン。

 コウの妹。


「見つかっちゃって」

「・・・」

 ターちゃんより小さい彼女ではちょっと今日の行程は厳しいかもしれない。

 連れて行って! ダァメ! で、一悶着(ひともんちゃく)あったのが赤くなった小さな鼻の頭でわかる。


「・・・いい?」

「ま、いいんじゃね? 秘密兵器もあるし」

 がらがらとむき出しで引きずっておいて、秘密もあったもんではないが、これ! と書くまで正体が判明しないのが書き物のイイトコである。

 これさえあれば、ターちゃんやサンが途中で駄々(ダダ)をこねても問題ないだろう。




 それよりも・・・。


「宝物だってな? 俺達も連れてけよ!」

 呼んでもいないのにいる二人がよっぽど問題である。




 タイチョー。漢字で書くとそこそこ立派なイメージの隊長がカタカナなのにはわけがある。

 そんなに立派じゃないというワケが。

 小学校高学年のタイチョーはよくハッチのグループにからんでくるのだが、その理由が。


「けよ!」

 いつも一緒にいるトリマキ=弟の彼しか側にいないと言えば、賢明=かしこい読者なら察して頂けることだろう。


 そんな彼が一緒に来たがっている。

 どうする?


A、仕方ない、連れて行くか・・・。

B、ここはきっぱり断る。

 

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