第53話:【防人】との出会い
「かかっそこの別嬪さんが坊の召喚獣か! すげぇな、俺じゃまともな手段じゃ勝てそうにねぇ!」
「…………分かるんですね」
「そんぐらい分かるだろ! 普通のダンジョンの魔物とはあまりにも格が違いすぎるからな――しかもまだまだいるんだろ? これが最新の英雄か!」
――俺の背中を強くバンバンと叩きながらも、褒めてくれる大和さん。
ファーストコンタクトは最悪だが、いい人なのは確かなようで……警戒は解いていいと思える人柄だった。
悪い人じゃ無さそうだし、この人は情報だけでもかなりの英雄であり、最前線を走り続ける猛者だから信頼は出来るし……それに、この人はやばい。
立ち振る舞いに一切の隙が無く、常にリコリスの方を気にかけている。
敵対するつもりはなさそうだけど、強いと認めてくれたのか一切隙を見せてくれないようだ。
「……でだ、せっかくだし調査結果合わせねぇか? 俺、そこら辺苦手だが、戦った奴は覚えてるぜ、なにせ三日潜ってるからな!」
「凄いですね……三日って」
「あぁ新発見のダンジョンとかロマンの塊だろ? 後続のためにもちゃんと、調査をしねぇといけぇねし、何より修行になるからな」
ストイックだなこの人と思うが、それは経歴から考えてそうなるか。
……この人の記録は流石に調べたが、一年中好きで仕事をこなしてるらしいし、本当に修行僧のような感じだ。
強さに貪欲な気持ちは……異世界を経験した俺からすると方向性は違うだろうが、嫌にでも理解が出来る。だって、強さがなければ何も成せなかったから……。
まぁその末路を考えると、本当に違う世界なのだと実感できるし……それだけこの世界の霊真の仲間達がちゃんと出来るようにと、手助けしたいって思えるが。
「……しかし、すげぇなこの調査書かなり丁寧だぞ? あーそうだ。なんかいいの落ちたか?」
「EやDの魔物ばっかりでドロップ品は転移石ぐらいです。多分かなり運が良かったと思います」
「まじか俺一回も転移石は見てねぇし、相当運が良いな」
やっぱり転移石ってレアなんだなと再認識しながらも情報を交換しあい。俺は大和さんと交流を深めていく。
「そうだ。坊……お前見た感じ潜ったばっかりだよな?」
「そうですね、まだ三時間ぐらいです」
「あー確かにそれならこの調査結果も納得だ。というかよくその短時間でここまでまとめたな……」
「まあリコリスのおかげですね……それより、どういうことですか?」
「ここな、かなり特殊なダンジョンなんだよ……異界型らしく、異世界もどきで――夜が来る。それももうすぐだろうぜ?」
【時間が経過し、世界が夜へと沈みます。ダンジョンの変質を確認、ダンジョン名【巨大樹の森】から【朱曜の夜樹国】に変化します】
そう彼が空を見上げて指を指したときだった。世界の声が場に響き一気に空気が反転して――世界が暗転する。そして、この場の気温が下がり……月が浮かんだ。
「来たな……この時間が」
「…………嫌な予感凄いんだが」
「当たりだ当たり、この夜からは推定Aはあるぞ?」
周り……といってもリコリスが毒をまいていたからその範囲以外に、魔物が湧き出した。それはゴブリンやコボルトのように生優しいものではなく……明らかにそいつらとは別格の魔物達。
歌声が聞こえる。
気配が濃くなり、霧が出る。
そして――中央の木の中から数多くの巨人達が姿を現した。
一つ目巨人であるサイクロプスに……二つ目のそれよりデカい奴、バジリスクのような蛇の魔物に炎を纏った巨大な虎。
見渡す限りに増えた魔物に……このダンジョンの異常さを一目で理解する。
「――でも助かった。坊がいればこれクリアできそうだ――さぁ挑もうぜ英雄、せっかくの試練を楽しもうか!」
あぁ――この人って根本的に戦闘狂で、クリードみたいな奴なんだなと悟った俺は……サモンと叫び、ルナとソルを呼び出した。
……流石に過労。
そう思いながらも……現代最強の実力を確かめるという好奇心に負けた俺は、負けじと武器を構えて戦いへと向かった。




