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第2話:……現代日本?

「え、なんであの怪我で動けるんだ!?」


 目が覚めてから三十分後、明らかなに異常な景色に首をかしげていると……見回りにきた看護師さんに見つかってそのままあれよあれよと医者が来て……どうするべきかわからなかった俺は……。


「あの……誰ですか?」


 とりあえず、記憶喪失を演じることにした。



「えっと、俺は落石に巻き込まれて五か月も意識不明だったと?」


「そうだね、脳死状態でもあったし目覚めたのは奇跡だとしか」


 医者による説明で記憶が一致したのはいいがそれを考えるとこれは一応三年前の世界? らしい。


 よく落石事故で無事だったとは思うが、この現代(仮)には魔法があるようでそれで一命を取り留めたとかなんとか……でも完治まではいかず、ゆっくりとこの体は死に向かっていたはずだったと。


「一応なんだが、検査しても構わないかい?」


 病院側も動けるようになったから速(即)退院というい訳にもいかず、そうやって精密検査をすることになったんだが――それの後の反応がこれ。


「信じられない」


 俺の担当医がそう呟くほど、外傷なし、病気なしであり記憶以外は綺麗さっぱりの健康体とそんな診断結果が出されるほどには治った体。


 一応サモナーだった俺は、支援などの回復魔法が得意だし、あのぐらいの傷を負うのは異世界じゃ日常なので治せたが……そんな事を言っても信じて貰えるわけがないのでそれは黙る。


「あれ程の傷を治せるのは――それこそA級やS級の実力のあるヒーラーにしか」


 そんな風に医者が驚いたのを見ると、怪我してたからといって何も考えずに治したのは不味かったなと後悔した。

 

「――霊真、目が覚めたのか!?」


「霊真――記憶喪失って本当なの!?」


 そしてそれから一時間ほどでやってくるのは久しぶりに会う父と母。 


 もう会えないと思ってた人達との再会――記憶喪失を演じる以上、泣くことなんか出来ないが、それでも会えたのは嬉しい。


「えっと――はい、ごめんなさい」


「――なんでお前が謝るんだ。あの事件は誰も悪くないだろ」


 父さんはそう言うと、俺に涙を流しながらも抱きつきそれに便乗するように母さんも抱きついてきた。嗚咽を零しながらよかったと言う両親に対して嘘をつくのは忍びなく――そういえば、こんな性格だったなと懐かしさすら覚えた。


「本当にすみません、俺は二人のことをなんにも覚えていなくて……」


「……いや、生きていてくれただけで……目を覚ましてくれただけでそれでいいんだ――また会えたんだから」


「ああ、本当に、本当に良かった――霊真が生きてて、よかった」


 そんな二人の本心からの言葉に……俺って愛されてたんだと、そんな事を思う。

 あぁ――帰ってきたんだと、家族に会えて良かったと思うのと同時に、どうしても窓から見た景色が頭から離れない……。


 それからの話としては、また時間をかけて精密検査が行われ異常なしという診断結果が言い渡され無事退院することになり、俺は両親と一緒に車で帰ることとなった。


 窓からみた魔物のことが気になるしと思いながらも、窓を見渡し数十分。なんか見える景色は自分が知っていた日本のものより進んでて、本当に日本なのかと疑問が湧いてくる。


 ひとまず家までまだまだかかるようなので、俺はぼけーっとしながらスマホで情報収集していたのだが、その中で気になる単語がいくつかあったのだ。


 気になるのを挙げるとするならば『冒険者』『ダンジョン』『ダンジョン配信者』。

 スマホでニュースを見てみれば、その映像には――。


『今日もダンジョンを攻略する冒険者のおかげで日本は平和です! それに加えて近頃ブームとなっているダンジョン配信の人気も上がっており、ダンジョン配信者は増えて――』


 そんな音声と共に、現代日本で暴れまわる魔物の姿と、そんな魔物と戦う人間達の姿が映っていた。それをきっかけに俺は入っていた見覚えのある配信アプリを開きダンジョンと入力してみれば、スマホにはダンジョンを攻略するどうがが沢山あった。


「……え?」


「どうしたんだ霊真?」


「いや、あの、これって……?」


「……まったくお前は、起きて早々ダンジョン配信か? 記憶を失っても変わらないんだな」


 懐かしむように喜ぶように父さんはそう言った。


 だけど、そんな喜ぶ父さんの姿を見て落ち着けないほどの違和感を俺は持ってしまう。だって映像の中で暴れるのは俺がいた異世界にいるようなゴブリンやオークといった見覚えのあるそれらだったから。


 元は架空だったはずの存在が、漫画をそのまま現実に落とし込んだような光景が、元いた日本と乖離していた違和感しか抱けない。


「……好きだったんですか?」


「あぁ、霊真はダンジョン配信が好きでなぁ。元々冒険者への憧れはあったんだが、ここ数年でいつか自分もって言ってたんだよ」


「そう……なんですね」


 父の言葉に歯切れの悪い様子でしか返せなかった。

 とりえあず、冒険者やダンジョン配信というのが当たり前に認知されているようだし、まじで記憶喪失ということにしてて良かった。


 便利とまではいかないが、うかつなことを言っても言い訳が出来る設定にしたおかげでなんとかなりそうではある。ナイス俺と自分を少し褒めながらも車に揺られていると――突如として感じ慣れた殺気を肌に覚えた。

 それと同時に遠くから走っている何かの影。

 

「ッおおおぉぉ!?」


「きゃぁぁぁ!?」


「っ――!?」


 咄嗟に父さんがハンドルを切ったことで車が逸れるが、このままだと壁にぶつかるだろう。そしたら二人とも無事ではすまない。

 そう判断した俺の行動は速かった。


「【プロテクトシールド】」


 使い慣れた支援魔法。

 それを俺は発動し家族の体を包み込む。

 


「うっ――無事か霊真」


「あれ、いたく……ない?」


「父さん達、無事?」


「あ、ああ……」


「ええ……」


「ならよかった――で、何が……?」


 間に合って良かったと思いながらも、俺は警戒するのを止めない。

 車の中から見える少し離れた巨体を見るために目を細めれば、そこには逃げ惑う人々の姿を見ることが出来た。


「ダンジョンから魔物が逃げたぞ!」


「冒険者が来るまで持ちこたえろ!」


 そして、その逃げた魔物というのは見覚えのある四メートルはある鷲頭の化け物。

 異世界ではグリフォンと呼ばれていたAランクの魔物がそこにはいた。

 

「れ、霊真――逃げるぞ!」


 観察していた俺に声をかけてくる父親。

 自分達も危険じゃ状況の筈なのに、俺を見捨てないように手を伸ばし必死に声をかけてくれる二人。


 異世界でもたしかにグリフォンはは強力な魔物だ。

 王国でも訓練をうけた騎士や熟練の冒険者がが複数人で相手をするような魔物で、鍛練などしたことのないただの人間など、簡単に殺せる力を持っている。


 でもとはいえ、魔王を倒した俺からすれば弱い部類の魔物で――この程度なら召喚獣の力なくても倒すことが出来る。

 でも――果たしてこのまま倒していいのだろうか?

 

 俺は異世界で力のせいで殺された。

 それに元々この世界の俺には何の力も無く……両親からすれば怖いはずだ。

 それに、もう誰かから恐れられるのは嫌だ。

 だから他の一般人と同じで此奴から逃げればいい――そう思って俺は離れようとしたのだが……。


「――誰か、助けて!」


 ふと耳に、子供の声が届いたのだ。

 咄嗟にそっちに目を向ければ、そこにはグリフォンに襲われそうになっている見知らぬ子供がいた。


「――ッ」


 それを見て俺は気づけば、飛び出していた。 

 強化の魔法で速度を上げて、俺は子供とグリフォンの間に割って入る。

 

(馬鹿が、なんで飛び出した!?)


 そう自問するが、自分でも分からなかった。


 ただ助けないとと思ったときには体が動いていて……。


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