第101話:集会準備
「…………え、これで行くのか?」
紗綾さんとカフェで会ってから数日、冒険者集会なるものの招待状が届きその内容を見る限り正装で来いとは書いてあった。
それをアラクネに相談した所、三日で仕上げるわ! とだけ伝えられ、それを待った故の感想がこれだった。
目の前の白いマネキンには、藍色の服が掛けられており……なんだろうか、異世界でも何回か着たスマートカジュアル? みたいな服装。
無駄な装飾は一切無く、機能美を感じられるその服を着れということなのだろうが、見て分かる中に込められている頭おかしい数の魔法の数にドン引きした。
分かる範囲で言えば、魔法耐性に物理耐性が主で。あとは身体バフとか毒耐性とかがあってどこの戦争に行くんだ? ってレベルの強力な魔法が盛り込まれている。
「その通りよ、レイマ君! 三徹&皆の毛とか羽とかをふんだんに盛り込んだの! 最高傑作でどんな戦闘にも持ってける優れものよ!」
親指を立ててギラギラとした目で語る彼女。
言ったとおり三徹目なのだろうが……そのあまりの熱量に余計に驚いてしまう。
下半身が蜘蛛である彼女、薄紫の長い髪を揺らしながらも俺を抱き上げて着ろと迫ってくる。
「髪はあのうるさいのに整えて貰うから、早速着て頂戴! さぁ今すぐ」
「分かった――分かったから離してくれ! あと着替えるから離れてくれ頼むから」
「あ、ごめんなさい。皆の更衣室近くにあるからそこで着替えて頂戴!」
「……人の中に何作ってるんだよまじで」
俺が知らない間に拡張されまくってる魂の世界。
その全貌は主である俺にすら把握できて無くて、なんなら全部知っているのはいないかもしれないレベルだ。
このままだと体の中にテーマパークを作られてもおかしくないだろうし、子供に近い召喚獣達がいることを考えるともう建設されているかもしれない恐怖すらある。
「……で、着たけど感想は?」
「――これは危険ね、他の皆には見せられないわ……」
「ほらな、異世界でも思ったけど似合わねぇだろ」
町とかを救った際のパーティーとかでも思ったけど、俺にこういう衣装は似合わない。皆が違う服装で楽しむのは良いのだが、俺には不相応感が強いというか。
「ふっ我ながら恐ろしい物を作ったわね! さっすが私、やっぱり最強稀代の大天才機織り師。これからもアラクネお姉さんを頼るのよ!」
「まあお前の布で作られた服なら安心だけどさ。あ、そうだアラクネ」
「ん、なにかしらレイマ君?」
「……召喚獣の一人も一緒にって言われてるんだが、誰を選べば良いと思う?」
「よしっ私に死ねって言うのね!」
「いや……選んでほしいだけなんだが」
限界のテンションでそう言われて思わずそう返したのだが、確かに一人だけ選ぶとなると戦いそうなのは想像出来たので仕方ないことだった。
えーでも流石に誰か行きたい奴いる? とでも聞いてもすぐ決まらなそうだし、あとは割と常識がある方が良い。それに女性だと流石にパーティーは気まずいし。
「髪整えて貰えるし、バアルで良いか?」
「それは無難ね。でもまあ、あいつがあとでボコされるだけだからどうでもいいわ」
「……選ぶのってむずいな」
あいつの性格を一度考えてみれば、主とパーティーだー!! って騒いで周りに言いふらしまくりそう。それを考えるとあいつは駄目だなとなり……頭をかなり悩ませてしまう。
「ランダムで喚ぶか?」
「それこそ最悪ね馬が来そうだわ」
「…………えっとぉ、ルナとソルが安全でリコリスも大丈夫そうで?」
「見事に初期のメンツね信頼度が段違いだわ」
「メルリは無理で、バハ喚べないし、バロールはなんか止めた方が良さそうだよな。カマソッソはあああいう所苦手だろうし、ベヒ子は――全部食べそうだし」
「賢明な判断よ! そのメンツは私もおすすめしないわね」
……とりあえず最近助けてくれた皆の名前を挙げながら、俺は俺で考える。
そして色々と考えた末、俺の中で残った名前が。
「やっぱり、バアル?」
「……そんな気がしてきたわ」
「アンラもラーヴァもグラムクラスだしなぁ……バイコーンは論外だし」
「あのカスはいたら害だもの!」
「あんなんでも割と良い奴なんだけどなぁ……同意するけど」
バイコーンの召喚獣からの届いてる評価をまとめるのだが。
あるので言えばカスや変態、駄馬、拗らせ二本角とか……あと妹であるユニコーンからもあってそれが確か、一生相容れない敵とかだった。
「あいつ、最初であった頃はユニコーンを守ろうとする良い奴だったんだけどな……なんであぁなった?」
「性癖と生命と変態の進化だと思うわね」
「カスの進化が過ぎる」
そんな事がありながらも、俺はそのままバアルに魔法で声をかけて……そのまま髪を整えて貰ってから、一緒にパーティーが開催される東京の会場に二人して向かうことにした。




