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嘘はBLの始まり  作者: 紫紺
32/78

TAKE25 結果が全て


 一体なんだったんだろう。嫌な感じだった。享祐は明らかに憮然としていた。


 ――――林田監督が言いたかったのは何? それを享祐が制したのはどうしてだろう。


「ねえ、東さん」

「はい? どうしました?」


 自分の事務所へと戻る道すがら、僕は車を運転する東さんに尋ねた。


「このドラマのキャスティングって、どうやって決まったの? オーディションなかったけど」

「ああ、それは……」


 ハンドルを握りながら、東さんは思い出す仕草をした。


「そうだ。林田さんの方から、候補に挙がってるって話が来たんですよ。伊織さんも私も知らなかったことです」

「候補に?」

「はい。それでスケジュールとか、受ける気はあるかとか聞かれたそうです。事務所はもちろん二つ返事で応じたようですが」

「そうなんだ」


 全く僕には知らせずに答えてんのか。酷いな。まあ、事務所としては、願ってもないと思ったんだろうけど。


「落ちたらショックだから。事務所も考えたんだと思いますよ」


 僕が憮然としたのが分かったのか、東さんがフォローしてきた。


「本当にそう思ってる? ま、僕も断るわけないけど」


 にんまりと口角を上げる東さん。丸い顔が恵比寿さんのようになる。


「それで、何人か候補がいたみたいですけど、そのなかから伊織さんが選ばれたんですよ。これは誇って下さいね。それに監督の目に狂いはなかった。今の評判を考えたら……」

「享祐……越前さんは、希望を言ったりしたのかなあ……」

「え? さあ、それは聞いてませんけど。でも、越前さんは発言力のある俳優さんだから、打診はしたかもしれませんね。良かったじゃないですか、そこでも合格だったんですよ」

「あ、ああ、うん」


 どうだろう。打診をした、か。その程度のことなのかな。享祐に選ばれたのならそれも嬉しいけど、やっぱり林田監督に選ばれてこそだよ……。複雑な気持ち。だけど……。


 ――――どういう経路で選ばれたとしても、結果が全てだ。監督にも享祐にも選んだことを後悔させないよう、頑張るだけじゃないか。


「次回は京都ロケですね。泊りがけだから楽しみですー」


 東さんはいきなり一度くらい声音を上げた。嬉しさが顔にも声にも現れている。そう言えばさっき、享祐もロケのこと言ってたな。泊りがけのロケは今回初めてだ。


「そうだね……泊りがけかあ。どこに泊まるの?」

「あ、どこだろ。ADさんから連絡がまだないので。でも、新幹線は予約済みです。グリーン車ですよっ」

「えっ!? マジで。そんな贅沢なっ」


 グリーン車なんて、公私ともに乗ったことないよ。


「スポンサーから出てるんです。私は指定席なのでおひとりですけど」

「そうなんだ……なんだか悪いな」

「まさかっ。もう伊織さんはスターなんですよ。帽子とグラサンをお忘れなく」

「ああ、うん」


 京都にロケ。享祐も新幹線かな。一緒だと嬉しいな……。


 けれど、残念ながら一緒ではなかった。享祐は朝から撮りがあるので、始発で行くとのことだった。さすがにそれに同行したいとは言えなくて……。

 それでも、京都ロケではサプライズがあったんだ。





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