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嘘はBLの始まり  作者: 紫紺
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TAKE18 ヤキモチ


 記者発表の二日前、つまり撮影の二日前、ようやく三話目の台本が届いた。

 首を長くして待っていた僕は、貪るように読み、ページをめくった。続きも気になってたし、長台詞とかあったらしっかり記憶したかった。

 セリフ覚えは正直いいほうじゃない。なのに、林田監督はいっつもギリギリなんだ。


 ――――ふう。ここで相馬亮の婚約者が登場ってわけか。やっぱ、原作通りだな。


 相馬亮は製薬会社の跡取り息子だ。本人の意向に関係なく、婚約者がいた。当然駿矢は知らないし、相馬自身も忘れていたほどだ。

 親同士の口約束で、本気にしてなかったのに、気付けば二人とも独身(相手は相馬より五歳年下だが、キャリアウーマンでバリバリ働いている才女)。でも、彼女はずっと相馬のことが好きだった。


「いや、これ難しいな……」


 僕演じる駿矢は当然ヤキモチを妬くんだけど、それだけじゃなくて突拍子もない行動にでるんだ。

 相馬の方は、流れに任そうなんて姑息な手段を取るもんだから、二人の関係は自ずとギクシャクして……。あ、姑息な手段って言うのは、僕の個人的解釈だよ。


「うーむ……」

「どうしました? 難しい顔して」


 これからバラエティー番組の収録なんだ。控室で眉間に皺寄せてたら、マネージャーの東さんに声をかけられた。


「あ、ううん。難しいなあと思って。僕はこんなふうに感情剥き出しにしたことないから」

「大丈夫ですよ。今の伊織さんなら、なんでも突破できそうだ」


 随分、軽々しく言うな。


「無責任だなあ。ああ、でもありがとう。頑張るよ」

「あ、でも……。伊織さん、ずっと越前享祐さんのファンですよね」


 何もわかりきったことを。僕がこの話が来た時、どれほど歓喜したか知ってるだろう。


「そうだけど?」

「もし、越前さんに恋人発覚! とか、電撃結婚! とかのスクープ出たらどうします? 穏やかじゃないでしょ」


 それは……やだっ! 絶対。享祐がどう思ってるかは知らんけど、僕は、享祐が好きなんだから。


 ――――でも、どうしよう。今はこうして『嘘の恋人同士』を演じてくれてるけど、本当は本物の彼女がいるかもしれないじゃないかっ。


「いいですねー。その感じでやればいいんじゃないですか?」


 けたけたと滅法軽い笑い声が聞こえてきた。東さんが満足そうに笑っている。


「え? もう、酷いな」


 僕は何故か照れくさくなって、台本に視線を戻す。今もまだ心臓が少し騒がしい。このざわざわとした感情。それを演技にうまく出せれば。

 目を落とす先の台本には『好き』の二文字が躍っていた。





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