表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘はBLの始まり  作者: 紫紺
17/78

TAKE13 秘密の関係


『役柄と同じように、秘密にしような。俺達の関係w』


 シャワーを浴びてベッドに転がっていると、享祐からメールが来た。最後にwが付いている。

 うん。そうだな。相馬と駿矢も自分たちの関係を隠しているんだ。駿矢はどっちでもいいんだけど、大事な跡取り息子である相馬亮はそういうわけにはいかない。

 もし、バレてしまったら、たちどころに引き離されてしまう。最悪、どこかの令嬢との結婚を勝手に進められると怯えていたんだ。


 ――――まあ、僕らも本気の関係だったら、同じようなもんだな。イメージ的にはマイナスだろう。


 なんでもいいから売りたい僕の事務所はともかく、享祐の事務所、特に敏腕マネージャーは許さないだろう、絶対に。『役作りのため』と言っても、難色を示すかもしれない。


 ――――だけど、秘密の関係とか、刺激的だー。萌ゆるよっ。


 それでも今夜、あんなにロマンティックなシチュエーションなのに享祐は何もしてこなかった。ただ抱きしめるだけで。

 まだ二話めの本が来てないからな。それとも、いきなり積極的になった僕に戸惑ったとか? ううむ。


 ――――なんだ、僕は……。結局キスして欲しいと思ってたってことか?


 ベッドの上、一人で体を熱くする。頭も顔も……色んなところが熱くなって反応してる。


「いかんっ! これはお芝居の延長なんだ。憑依型だって、どこかでそれを客観的に見る自分がいなくてはっ」


 悪夢に覚めたごとく飛び起きた僕は、誰もいない部屋で叫んでしまった。

 



 翌日、CM撮影の現場に行くと、マネージャーの東さんがニコニコ顔で出迎えてくれた。


「脚本、出来上がって来たのでお渡ししますよー」

「あ、ありがと」

「絶好調ですよね。私も次回が待ち遠しくて」

「え? ほんと? 僕の演技、大丈夫かな」


 撮影用のメイクを施してもらいながら、鏡越しで東さんの顔を覗き込む。

 小柄でぽっちゃりした容姿で、人当たりがいいマネさん。丸顔をさらに丸く膨らませて頷いた。


「引き込まれましたよ。男の私でもこうだから、女性ファンにはたまらないでしょう。これは私見ですけど、原作ファンにも絶対受け入れられると思いますよっ」


 全くの私見だな。しかも希望的観測の。

 そうなんだ。僕が怖いのは『原作ファンの皆様』。今までどれほどの実写化ドラマの俳優がコテンパされたか。漫画でも小説でも、そのハードルは富士山ほど高い。今回はまだ小説だからマシかもだけど、僕はとてもビビってる。


 ただ、SNSを覗いた感覚では、思ったほど悪くなかった。特に享祐さんはイメージぴったりと言われてるんだ。それはそうだろう。原作者は、享祐をイメージして書いたと公言してるんだから。


「ネットで見たんですけど、越前さんだけでなく、伊織さんの前評判も悪くないから心配しすぎることはないですよ」


 僕の気持ちを察してか慰めてくれた。本当にそうだと有難いんだけど……。僕はこのごろ怖すぎてエゴサしてない。


 ――――でも恐れずに行こう。これから実生活でも享祐の恋人になるんだ。嘘の恋人だけど、本気でぶつかるんだ。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ