ようこそ横山家の別荘へ(7)
(7)
「ああ、馬鹿らしい。わざわざこんな小細工まで用意して。
どこの誰がやったのか知らないけど、付き合ってられないわ。」
お姉さんはそう言って別荘を出て行った。
あまりにも自由すぎる彼女の行動に驚いたが、おそらく1人で泣きたいのだろう。
皆が涙する中で、俺と彼女だけが泣いていなかった。
でもそれはきっと我慢していただけの話だったのだ。
「私ちょっと外でタバコ吸ってくるから。」
「お、お待ちくださいお嬢様!今1人になられては危険すぎます!」
2人が別荘を出ていき、俺と楓と広瀬はその場に残された。
俺たちは食堂へ移動し、3人でこれからについて話し合った。
「雄都、すまない。こんな遠くまで来てもらったのにこんな事件に巻き込んで」
「楓、俺はいい。ただ俺はお前が心配だ。」
「ありがとう。本当は辛いよ。こんな風にパパを失って、もっと色んなことを聞きたかった。でも今はまだ実感がなくて… 」
「いや、それも心配だが本当に心配なのはそうじゃない。俺はあのヤマモンとかいうのが言ってたことが気になるんだ
あいつ、横山家に復習を果たすとか言ってなかったか?お前も狙われてるんじゃないかって心配なんだよ。」
「そういうことか。そうだな。でもそうなってくると犯人は横山家と血縁ではない誰か?」
楓はそういうと見開いた目で広瀬を見た。
「ち、違います。わてはそんなことしてません!」
「でも、君が第一発見者なんだよね?それって君がやったからじゃないの?」
「あれはたまたまご主人様が置いています盆栽の手入れのを執事の松本さんにお願いされて!」
「そうか、ハサミも持っていたんだったね?それじゃあ電話線を切ったのも…」
楓の中の彼女への疑いが加速する中、当然男性の図太い声が窓の外からした。
「皆さん早くきてください!」