ようこそ横山家の別荘へ(6)
(6)
「落ち着いてください、おぼっちゃま!ま、まだそ、そうと決まったわけではありません!」
「松爺、俺犯人がわかった気がする、、、犯人は、、、」
彼が言いかけていると、この部屋にある巨大なモニターが作動した。
「やあ!僕ヤマモン!よろしくね!」
皆が唖然とした表情が浮かべた。
「君の大切なパパをやったのは僕だよカエデ君!」
流れてくる音声は加工が施されたような特殊な甲高い声だ。
完全にふざけている。デスゲームの主催者を気取っているのか。
モニターに映し出されたのはクマの仮面をつけた何者かだ
もう少しか画角が合えば、犯人の体格までわかりそうだが
顔が全体のほとんどを占めており、まるでハイプリエステス。
クマの仮面に何者かが声を当てている。おそらくこの事件の犯人なのだろう。
「横山コウダイに制裁を!僕は横山家に復讐を果たす!今その時が来た!
じゃあみんな、また会おうね!」
モニターはブラックホールに吸い込まれるようにして消えた。
「もし、今のが犯人だとしたら、私たちの中にはいないってことなんじゃないの?」
メイドの広瀬は必死に安心できる材料を探しているようだった。
しかし、犯人はこの中にいない?そんなことはありえない。
「ここにいないとしたらモニターが起動したタイミングがあまりに良すぎる。
それに俺たちを遠隔で確認する監視カメラらしきものもない
誰かが今、タイミングを見計らってこの映像を流した。そう考えるのが自然だ。」
「そ、そんな、それじゃあ、私たちの中の誰かに…?!」
「わ、わからないじゃないかそんなこと!この動画は録音されたもののようだし
もしかしたら受話器を取ったら映像が流れる仕組みにしてあったのかも知れないだろ!」
楓は必死で弁論した。おそらくここにいる誰かが犯人だと信じたくないのだろう。
それに彼が言っていることには一理ある。せめてここが絶海の孤島でなければ、
外にも人がいるだろうし、犯人がここにいない可能性もあったが、こんな海のど真ん中
容疑者の候補は俺たちに絞られてくる。残念ながらここからは互いを疑うしかない。