第二十四話
天文七年 (一五三八年) 三月 播磨国 飾東郡 御着城 小寺氏館
夢前川の戦いから一年が経った。赤松家と三木家も国力が回復した様だ。公に同盟を組んで小寺家に攻める準備をしていると聞く。そして赤松家は明石家と別所家に小寺家を同時に攻める事を密約している。
だが、俺もこの一年何もしていなかった訳では無い。
内政では、領内全域で正条植え、塩水選、苗床栽培、干鰯の肥料が使われ、石高が二十万から二十六万に増えた。兵力にすると七千八百の兵を動かす事が出来る。
外交では、神崎郡を治める櫛橋氏に、西播磨が統一した暁には、小寺家に臣従すると言う事を内密に取り付けた。
まあ、俺の母上は今の櫛橋氏の当主櫛橋通則の娘だから優遇されると思ったのだろうが。
軍事では、兵の七割を常備兵にする事が出来、農兵よりも確実に練度の高い状態になっている。
そんな事を考えていると橘賀衆の甲賀衆を率いる与右衛門が現れた。
「殿!赤松家、三木家、別所家、明石家が兵を動かそうとしている、動きが確認出来ました。恐らく我等に攻め入ろうとしているのかと。」
「何⁉︎良くやった!家臣を集めよ!軍議を開く!」
「はっ。」
天文七年 (一五三八年) 三月 播磨国 飾東郡 御着城 小寺氏館
「与右衛門、現状を詳しく説明しろ。」
「はっ。まず、赤松、三木の西播磨方面の軍勢は千八百で、明石、別所の東播磨方面の軍勢は六千九百であり両軍合わせると八千七百で御座います。」
「我が軍は七千八百対小寺包囲網軍八千七百、用兵を少し間違えでもすれば、滅ぶかも知れませんな。」
そう発言したのは加藤孫右衛門だ。こいつは譜代の家臣で小寺家の誇る猛将の一人だ。頭は良く無いが、腕っぷしは自他共に認める腕前だ。歳は三十歳だ。
「いやいや加藤殿、東播磨方面の敵軍とは暫く睨み合いなどの時間稼ぎをして、西播磨方面の敵軍を先に破ってから西播磨方面軍が東播磨方面軍と合流すれば、数的有利は簡単に作れますぞ。」
勘助がそう発言した。
「勘助、兵力はどう分配する?」
「そうですなぁ、...東播磨方面に五千二百、西播磨方面に二千五百ではいかがでしょうか?」
「東播磨方面は五千二百で六千九百を止められるのか?」
「孫四郎様、敵は連合軍です。我等より連携を取るのは難しいでしょう。その様な軍など、簡単に止めて見せましょう。」
「で、あるか。...西播磨には俺を総大将に重隆と加藤、江田が、東播磨には勘助を大将に古河がつけ。皆の者、出陣じゃ!。」
「「「「応」」」」
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