第十六話
天文六年 (一五三七年) 三月 播磨国 揖保郡 夢前川 牛尾久信
中々敵の守りが固い。仕方ない、俺が道を切り開いてやるか。
ある程度敵に食い込んだ所で一人の将が前に出てきた。どれ、名乗りを挙げるか。
「我が名は牛尾久信!尼子家一の猛将である!貴様の首を取る!」
そう名乗ると相手も名乗った。
「ほぅ!我が名は小寺則職!小寺家当主である!我が首取れるものなら取って見せよ!」
何と!相手は小寺家の当主では無いか。討ち取って見せる。
意外にもこの男は中々やる様だ。どれ、少し槍の速度を上げるか。
「中々やる様だな!もう少し槍の速度を上げるぞ!」
流石にこの速度にはついて来れない様だな。傷が増えて動きも鈍くなっている。止めを刺すか。
「死ね!」
何!男は自分の右腕で首を守った。驚いたがもう右腕は使い物になるまい。もう一度槍で突こうとした瞬間に
「えいえいおー!えいえいおー!えいえいおー!」
勝鬨が聞こえた。どうやら本陣が奇襲を受けて落とされた様だ。晴久様は無事だろうか?いや、今は急いで撤退して挟撃されない様にしよう。
「あと少しでお前を殺せたのだがな。」
そう言って撤退した。
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