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深淵の天使  作者: 鹿 喜月
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マザー・ヴァーサス・アイアンモンスター 『急』

「0100001ン001110ウ011」

「無理に話さなくてもいい!侵入に集中しろ!」

「011テ000100タ001100000」

「この程度簡単だってか?生意気な奴だ…」


「ARRRRRGH00101110010000AR0010R01101GH011」

全艦艇が攻撃を停止し、ノイズを発し奇妙な動きを見せる鉄神を睨む。先程までの暴れっぷりは鳴りを潜め、闇雲に身体を捩り各部から可視化されたデータをわずか数秒空間や海面に投影するなど明らかに異常な行動を見せている。

「01110100010」

鉄神は金属音混じりの声を出さなくなり、ノイズを発しながら少しづつ動きが緩め、やがて止まり、ノイズも止んだ。


「何が起こってるんだ…」

「無力化したのか?」

各艦の艦上でざわめきが起こる。

「いや…なにか奥の手があるのかもしれない…」

「あの怪しいヤツが…か?」

「…見てみろ」

完全に停止した鉄神から少しづつ鉄片が剥がれていく。やがてその鉄片は瓦礫ほどの大きさになり、内部の青白い球体が露になる。もはや原型を留めないほど崩壊した鉄神は海上に漂う、或いは沈んだ無数の鉄塊となり、残った球体の青白い光も消え、鉄屑へと変わった。

「…あの球体を回収しろ…」誰かが命じた。


「011…自動操船に切替。今回は既に大破していたため自壊させましたが理論上は鉄神を乗っ取る事も可能ですよ?」BSは嘯く。

「俺達を処刑させる気か」ジャーメインは懐から煙草を取り出し火を付け、咥えながら呟く。

「そんな事は私もしませ…あの船を遠ざけさせろ!コアに近づいてはならない!」

「そこの船!離れろ!」

「間に合わない!」


「離れろだと!接舷寸前なのにすぐには無理だ!」

米駆逐艦「バスター」は球体に接舷を試みるが…

球体は力を失ったように見えたが…そうでは無かった!球体から弱々しいながら異様な極彩色の光線が「バスター」に向け放たれた。「バスター」に外傷は無いが…


「あれは鉄神の最終防衛システム…私の力を持ってもあれは解除不可能です…」BSはやや不安そうな口調で語る。

「生物にのみ効果があるのです…浴びた生物は…言わない方が良いでしょう。見るのはお勧めしません。」


そのころ「バスター」には悍ましい光景が広まっていた。艦上にいた船員は言わずもがな、艦内にいた船員も全て肉体が変質し不気味な色の肉塊となっていた。人体の形はもはや見受けられない。球体は少しづつ崩壊し、やがて海中に没した。


――――同時刻、日本

「アンタが黒金新教の”本物の”教祖だろ?」男の名は柴田俊一(しばた しゅんいち)。潜入捜査官である彼は数ヶ月に渡り黒金新教の信徒を演じ、『数人の』黒金新教教祖、伊佐美金重を殺していた。

「下郎が…鉄神の意思に背く愚かな反逆者風情がこの私に盾突くと?」伊佐美は全く意にも介していない。

「その態度がいつまで続くか見ものだなァ!」BLAMBLAMBLAM!柴田の持つ機関拳銃がサイバネ義手との接続により高速で伊佐美の心臓に狙いを定め9mmの鉛玉を発射する!弾丸は全て命中したが…

「フン、所詮は下郎共の愚かなオモチャよ」伊佐美の胸に食い込んだ弾丸がポロポロと落ちる。

「貴様…」柴田は狼狽するも再び伊佐美に狙いを定めるが…

「下郎、下がるのだ」伊佐美は素早く上着を脱ぎ捨てる!その下から現れたのは最早人間と呼ぶのも怪しいほどサイバネ化された身体であった!BLAMBLAM!その脇腹から柴田に向け弾丸が連射され、頭部と両腕を破壊した。

「ア…ア…」柴田も肉体の大部分をサイバネ化しており、特に頭部は殆どが置換されている。だがその頭部は左目、口の一部を残し無惨に破壊されていた。これが生身ならまず間違いなく即死していたであろう。BLAM!

頭部を失った柴田は倒れ込み、死んだ。

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