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深淵の天使  作者: 鹿 喜月
2/16

1.月との戦争

前回の続きです。

主人公がまだ出ないのはお許しください…

―――2042年 日時不明 月面都市「シャイニング・フューチャー」大規模集会所にて


「我々の元に届く補給物資!同封されたのは応援の言葉ではなく無茶なノルマ。食料とは名ばかりの廃棄物のような食品。そのお陰で何人が死んだ!」

無惨にも破り捨てられた地球がプリントされた旗を踏みしめた長身の男が叫ぶ。その顔は病人のように痩せ細っているものの、目には確かな力が宿り、顔には覚悟が見える。

「数え切れないほどだ!」

無数の労働者やプログラマーが拳を突き上げ叫ぶ。

「地球人は我々を希望と共に送り出したと言っていた!なのに何故このような扱いを受ける!」

「ヤツらは恐れているんだ!自分達の仕事が奪われる事を!」「我々は無力ではない!」

月面は2026年に軍事基地化が進められ、かなりの数の兵器や車両が運び込まれたが並行して進められた月面都市建設計画の影響、世論の影響により突如計画凍結。月面には兵器やその際に送り込まれた関係者が多く取り残されている。勿論この都市内にも軍事関係者は働いている。

「我々は無知ではない!我々には技術がある!」

月面都市には多数の兵器が残されており、その中には月面から直接地球を攻撃可能な物も少なくない。またサーバー内のデータには火器や火砲、個人用装備といった初歩的なものから航宙戦闘機、宇宙戦闘艦、更には長距離レーザー兵器などの設計データが保存されている。有事に軍事工廠としても機能するよう設計されたこの都市では製造が可能なものばかりだ。

「今こそ!我々の力を見せつける時だ!」


2042年7月28日午前11時10分、月から地球に突如として4分間の動画が送信された。

「我々は長期に渡って耐えた。希望を込めて送り出したとは上辺ばかり、実際は我々を地球から追い出すのが目的だったと言うことだろう?

貴様らは我々月面移民を低く見すぎている。我らには力も知力も、貴様ら地球人が思っているより何倍も持ち合わせている。

我々は耐えてきた。しかしそれにも限度がある。我々は独立する。このメッセージが終わる頃、オーストラリアで悲しい事が起こるだろう。それは我々からの宣戦布告だ。」

月からオーストラリアへの核攻撃を持って、WW3は開幕した。

月からの攻撃は激しく、放たれた長距離レーザー砲は多くの軍事衛星を破壊し、月からのジャミング、また宇宙軍も移民軍の航宙戦闘機や宇宙戦闘艦の前に大損害を被った。この際、かつてより開発が進められていたが「非人道的」とされ中止されていた自立無人戦闘システム搭載兵器の開発が臨時で再会を許可され、既存の駆逐艦と同様の兵装自立無人戦闘システム「Brain」と対ジャミングシステム、軍事衛星打ち上げシステムを搭載した「Brain Ship」が開発、量産された。

対ジャミングシステムと軍事衛星打ち上げシステムにより地球は体制を立て直すことに成功したが移民軍はこの「BS」を見過ごす訳もなく、攻撃目標をBSに変更。月面のマスドライバーを流用した砲を使い攻撃。Brainを搭載しているとはいえ超高速で到達し空中で爆散、自動車サイズの子弾を撒き散らす砲弾は駆逐艦並の装甲しか持たないBSには十分な驚異であり、各国で1200隻生産されたBSの内実に1134隻が月面からの攻撃やそれに乗じて発生した地球での紛争により撃沈されたとされる。

地球から移民軍の宇宙戦力が弱まった頃を見計らって送り込まれた部隊の攻撃が行われた後、部隊と入れ替わる形で戦略核を搭載した無数のロケットが月に向けて撃ち込まれた。やがて、月からは生体反応が消えた。戦争が終わった時、人類が得た物は数十隻のBS程。

この後、本当の惨劇が地球で繰り広げられる。

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