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深淵の天使  作者: 鹿 喜月
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鋼の巨神、穿つは雷霆(破)

「話を兼ねて、少し面白い事してみるか?」

「何するんだよ」

「コレ飲め。毒じゃねぇよ、保証するぜ。」

そう言い、レネゲイドは近くのテーブルからコップに入った青緑の液体を渡す。

「飲むと俺と話ができるぜ?早く飲め」

「ヤベぇ薬とかじゃねぇだろうな?」

「毒じゃねえって言っただろ?飲んでも死にはしねぇ。物は試しだ。一気に飲め。」

「毒なら一生憎んでやるからな。覚悟して…」

液体を一気に飲み込むと、言い終わる前にフリックショットは倒れ込んだ。


0101000100…目を開けると、そこは寂れたレストランの内部。外には倒壊した建物や枯れ果てた街路樹が見える。目の前にレネゲイドの姿をした半身が01ノイズで構成された男が現れ、テーブルに腰掛ける。

「01100100見事に入ってんじゃねーか。話はこっちでするぜ。外の奴らには黙っときたいからな。」

「何したんだお前?ここ何処なんだよ?」

「ここはインターネット空間そのものだ。後今の俺は「お前」じゃねぇ。「NANCY」だ。」

「着いて行けねぇよ。大体何だよそのふざけた名前。後現実世界の俺どうなってんだ?」

「名前なんてどうでもいいだろ。現実世界のお前を見せ…プッ…ハハハハハ!何てぇザマだ!面白過ぎるぜ!」

「何だよそれ!と言うより早く見せろよ!笑ってんじゃねぇ!」

「ハハハ、それは後だ、まずは俺の引っ張ってくるヤツを見ろ。丁度俺も安定しだすしな。」


01ノイズが消え完全な人型に変化したレネゲイドとは対象的な01のノイズと様々なデータが混じり合い構成された不規則に鳴動し伸縮を繰り返す謎の物体。時折ノイズを話すが、本当にそれ以外は何も話さず、動かない。

「そいつ何者だ?気持ち悪いな。」

「お前んとこのBSが乗っ取ってぶっ壊した奴だよ。お前以外にも鉄神壊した奴は居るが中枢はここに流れて来てんだ。いつも俺が止めを刺してる。そうしねぇと奴ら無限に蘇るぜ。」

「成程…だいたいわかった。俺は何すりゃいいんだ?見てるだけか?」

「お前仕留めてみるか?この空間じゃ何でも出来るぜ?」

半信半疑のまま、手近なテーブルを掴み左右に引っ張ると、木目に逆らいテーブルが裂ける。軽く壁を殴ると、壁に穴が開く。

「理解したぜ…」

フリックショットは01ノイズとデータの塊に近付き、現役時代に叩き込まれたありとあらゆる技を打ち込む。攻撃を受けるごとにノイズが薄まり、データが希薄になる。途中、悲鳴のようにノイズを流すが気にしない。やがて、それは消滅した。

「おめでとう、お前は人生初めて完全に奴らを消滅させたんだぜ。」

「お前毎回これやってんのか?」

「面倒くせぇ技なんて使わねぇよ。この空間、本当に何でも可能だからな。」

「先に言え…」

言い終わる前に突如データの突風が吹き、ノイズの竜巻が発生する。

「また出たな。お前の無様な姿はまた今度だ。とりあえず戻る01001」

意識が飛ぶ。


再び目を開けると、また清潔な空間が目に入る。

「テレビ見てみろ」

壁のモニターが起動する。

「…れは映画ではありません、指示に従い適切な避難を…」

ナレーターの後方のモニターには港から数キロも離れていない場所に鎮座する鉄神。

「あの場所は!そもそも鉄神は沿岸に出ねぇぞ?アイツも破壊されちまうぞ!」

「どうせあの連中だよ。話は後だ。お前この旧浅草天塔(ジグラット)を何も弄ってないとでも思ってるのか?場所的に都合いいぜ、雷霆システム、久々に使うか」

言い終わらないうちにテレビ画面が変化し、HUDに近いモニターに変化する。

「この小夜啼社本社ビルは俺が許可を得て弄ってたんだよ。雷霆システムは奴らにも効くぜ?」

「恐ろしい奴だ…信じてやるよ。」

レネゲイドは椅子に座ると、2010年代の空気を感じるデザインのコントローラーを取り出し、画面の照準を鉄神に向ける。

ZAAAAAP!鉄神の右ヒレが黄色の光に貫かれ、尾を半分以上切り飛ばされる。

「狙いが甘くてもここまで可能だ。2040年代、極まった技術を残しといてくれた小夜啼には感謝しかねぇよ。」


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