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深淵の天使  作者: 鹿 喜月
13/16

鋼の巨神、穿つは雷霆(序)

「教祖様、手段とは…?」

「沿岸に…鉄神を…解き放つ…」

「そのような事をしては我々にも」「その程度理解している」

「我らを知るものは…民には少ない…始めろ…」

「り、了解しました!」


28日、午後13時33分、旧浅草地区

「Y2Kって知ってるか?」

「なんだよ、それ」

「2000年問題、って言えばわかるか?」

「なんか聞いた事あるぜ、2000年になるとコンピューターがおかしくなるってやつだろ?」

「そうそう。」

「で、それがどうした?」

「いや、あれはそれと関係あるんじゃないかなって」

男の指さす先には雲をも貫く半ば廃墟化した異形の建築物。巨大な5本のビルが束ねられた中心部に違法に建て増された(おびただ)しい数の構造物。正式名称はこの場にいる者で知るものは居ないだろう。人々からは「旧浅草天塔(ジグラット)」と呼ばれるこの建造物。その地下に入っていく2台の疾風、1台の土蜘蛛。


「ウィリアム君…いや、こう言った方がいいかな、フリックショット。」

「アンタ何で俺の名前知ってるんだ?」

「レネゲイドという名を知っているか?」

「知ってるぜ…アイツが絡んでるのか?」

「彼は君に力を貸したいみたいだよ。彼は小夜啼(さよなき)社浅草本社ビル、すなわちここに住んでいる。」

疾風と護衛の土蜘蛛は巨大な地下通路を通り抜け、煌々と明かりの灯った空間に到着した。

「着いたよ。まずは降りてみなさい。」

「…凄ぇな…これ」

彼が息を飲むのも無理は無い。広大な地下空間は多くの居住施設、娯楽施設で埋め尽くされていたからだ。電気も通っているようで、街中には街頭やネオンが煩いほど光り輝く。

「彼はこの奥に住んでいるよ。案内しよう。」

路地裏から客引きと思しき男が現れる…が、只者では無い雰囲気の数人の男に怯え、踵を返し他の客を探しに向かった。


数分も歩くと、寂れたボロボロの小屋に到着した。

「あの野郎、こんなクソみてぇな場所に住んでるのか?」

「ここだけじゃないんだよ。入りたまえ。」

小屋の中には地下へ向かう小さな階段。

「降りるぞ。」

先導する長髪の男に従い、6人の男は降りていった。壁のコンクリートは所々剥がれ落ち、岩石の地層が見えている。明かりは壁に埋め込まれた小さな蛍光灯便り。1分も歩かないうちには風化した階段や壁とはミスマッチな整備の行き届いた防爆仕様の扉があった。

「そろそろ着く。鍵を開けるから待っていろ。」

次は角刈りの男が懐から鍵を取り出す。見えている鍵穴…ではなく足元の穴に鍵を入れる。重い音を立てながら扉が開き、2個目の扉が現れる。角刈りの男は慣れた手つきでカードキーを取り出し、瞬く間にスキャンを完了させた。

「認証ニ成功シマシタ。」無機質な合成音声が不気味に響き、今度は静かに扉が開いた。調度品の揃えられた清潔な空間。

「待ってたぜ。もう既に鉄神を破壊したんだってな、エエッ?」

「まあな。アイツの功績だよ」

「ヘッ、いつ来てもノリの悪いやつだ。知ってるか?戦いってのはノリのいい方が勝つんだぜ?」

「好きだな、それ」

「ホントに面白みのねぇ奴だな…話に移るか。」

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