世界を変えるためなら、たとえ貴方たちにおねぇと言われたとしても私は気にしない。
二度見される。二度見される。すれ違う人たちが皆振り向く。男も女も、大人も子どもも皆振り返る。
二度見される。二度見される。後ろから私に向けた声が聞こえる。私に対して何か言っている。
袖がダボダボな服が好き。だって萌え袖ができるから。丈が長い服が好き。だってなんだか可愛いから。でもボトムはスキニーのデニムが好き。だって脚のラインが綺麗に見えるから。靴は細身のブーツが好き。だってスキニーによく似合うから。
二度見される。二度見される。私に向けられるのは好奇の眼差し。私に聞こえるのはヒソヒソと囁き合う小声。
二度見される。二度見される。でも私には興味がない。他人の反応など興味がない。何を言われても興味がない。
「かわいいですね」
「おしゃれですね」
「似合ってますね」
ありがとうございます。でも別に貴方たちにそんな言葉を言われたくてこの服を着ている訳ではないの。私は私が着たいと思った服を着ているだけ。
「奇抜ですね」
「変わってますね」
「勇気がありますね」
ありがとうございます。でも無個性でありきたりな服装の貴方たちに言われても何も思わないの。私には貴方達がとても退屈そうに見える。
私は私が着たい服を着る。誰のためでもなく私のために。誰にも私の邪魔はできない。性別なんて関係ない。着たいと思えばそれがレディースだろうとメンズだろうと関係ない。サイズなんて関係ない。自分に合うサイズか無ければ自分でミシンで作ればいい。
私がおねぇかって?残念ながらおねぇではない。私はただ自分が好きな服を着ているだけ。ただそれだけ。
でもそれだけで世界は変わる。世界が私を中心に変わっていく。大好きな服を着て一日を過ごす。それだけで今日という日が特別な一日に変っていく。特別な一日は私を幸せにする。私の世界を鮮やかに美しくする。
二度見される。二度見される。私は注目されている。私は周りの視線に全く興味がないとは言い切れない。全く気にならないとは言い切れない。でも、知ってしまったから、もう知る前には戻れない。幸せな一日を知る前には戻れない。
私は今日も幸せな一日を過ごすために、自分が着たい服を着る。今日も世界は美しく輝いている。