春の兆し
いつもの駅に見かけない張り紙があった
「恒例の季節になりました 皆様のご配慮に 感謝します」
もう 今年も そんな時期になったのか
肌寒くはあったけれども コートを着るほどでもない そんな時期だった
駅の天井には 見慣れた 茶色の
すり鉢状の「それ」が出来つつあった
忙しなく 飛び回る 小さく白い腹 そして 青魚の様なテカった翼の小さな渡り鳥
彼らの子育ての時期が 到来したのだ
この町は 彼らにとても優しい
お陰で そこら中の家々に 彼らの巣ができる
空一面 真っ青な蒼空を 彼らは埋め尽くすほどに飛び交う
「これから 大変だろうけれど 元気に巣立っておくれ」
これから生まれるであろう 雛たちを想像しつつ 春の到来を感じた