4話
モンハンの料理長猫さんどっちもいいよねぇ(*'ω'*)
「いらっしゃい」
可愛い! 出迎えてくれたのは二足歩行のお婆ちゃん猫さんだったの。割烹着が良く似合う。
「すぐ側の串肉屋のおじさんから薦めて貰ったの。宿泊をお願いします」
「そう? 嬉しいわぁ。ヤシルの坊ちゃんには感謝しないとねぇ」
あのおじさん四十歳くらいだと思うんだけどこの人にとっては坊ちゃんなのね。
「お客さんかや? 婆さん」
「そうですよ。久しぶりのお客さんねぇ」
久しぶり? 三代も続いてるって聞いたから繁盛してると思ったんだけど……。
「今日はお嬢さん以外には誰もおらん。貸し切りじゃからゆっくりしてくとええ」
お爺さん猫が奥の部屋から出て来た。白いお鬚が似合う。
丸っこいお婆さん猫とスラっとしたお爺さん猫。二人とも優しい顔で、仲が良さそうな理想的な夫婦。
私もこんな風になりたいかも。
「もうそろそろ限界かのう? 継いでから夫婦で五十年。お客も来ないんじゃぁ生活が出来んよ」
「そうですねぇ。娘は嫁に行きましたし、宿を継いでくれる人もいませんから……」
もう宿屋が続けられないくらいになってしまっているみたい。
「お客さんがこないってどうして?」
「近くにギルドの宿屋が出来たんじゃよ。部屋数も多くて料金も安い。うちをよく使っていた人達はお金がない人達ばかりだったからのう。あっちに流れてしまったんじゃよ」
「そんなことが……」
あのギルドが宿屋を始めてたなんて……。
でも依頼の仲介料だけじゃ儲けも少ないだろうし宿屋とか酒場をやるしかないのかも。
「まぁここにいる間はゆっくりしてきんさい。今日は腕によりをかけてご飯作るからね」
「それじゃぁわしは少し出てくるでのう。ゆっくりしてくとええぞ」
「ありがとうございます」
部屋の鍵を貰って二階へ。階段を上っている時に手摺が目に入る。手入れが行き届いていて艶が出ている。長く使い込まないとこうはならない。老舗の旅館の様だ。新築にはない落ち着いた色合いが心を落ち着かせてくれる。
部屋に入ると左右にベッドがあり、その隣に収納用の鍵付きの木箱が置かれている。端の方には二人用のテーブルと椅子もある。
「実家の様な安心感ってこういう感じなのかな?」
やっと落ち着けたので魔法の鞄の中身を確認する。
この世界に来る前にゲームで手に入れた物。この世界に来てから森で手に入れた物。アリアンテスに向かう途中で倒した狼は鞄に入れたら解体されていた。魔法の鞄には解体する機能が備わっているらしい。
それとお金。多分普通に生活してたら使いきれないくらいはある。
それからお婆さんに呼ばれるまでは装備に確認をしたりした。