3話
(*'ω'*)モンハン買った! たのじい!
都市アリアンテスの中心は、市場と大きなギルドの建物を中心としてその周りに露店や大規模な商会の店が立ち並んでいる。
その中の『ギルド─アリアンテス支部』と書かれた大きな看板の掛かっている、これまた大きな建物に入る。両開きの木製の重いドアを軽々と両手で押し開ける。
すると、右前方の方から複数の視線が向けられた。
不快な視線をずっと向け続けているのはこんな昼間から飲んだくれている人だけで、これから仕事のありそうな人達は話し合いに戻ったりギルドから出てったりしてる。
右側は集会所兼酒場、左側は受付。まずは受付で話をしなきゃ。
ギルドを利用するのにギルドに入ったり登録したりは必要ない。飽く迄も依頼者との仲介だけ。だからギルドはやたら仲介料を取るし、その辺にうるさい……だっけ?
面倒事は避けるしお金には五月蠅いってことね。
「いらっしゃい。依頼する? それとも受ける?」
受付嬢は何処か馬鹿にした感じの話し方でそう言った。
やたら手はギラギラとした指輪で眩しいし、首元も大きい宝石のネックレスを着けている。
「受ける方よ」
「あら、子供じゃない。こんな鎧着てるからドワーフか何かだと思ったのに……。駄目じゃない。子供がこんなところに来ちゃ」
門番の息子さんに続いて失礼な奴二人目。さっきは思わず怒鳴っちゃったけど、ここは落ち着いて……。
「私はこれでも二十歳だから……」
「そんな訳ないでしょ。そんな子供の声と体で言われても誰も信じないわよ」
「ほんっとにもうっ! 門番の人もアンタも失礼な人ね! 私はとっくに成人してるの! もういい! こんな所であんたみたいな人から依頼なんて受けたくないわ! さよなら!」
こんな所さっさと出て行こう。金輪際近付かないわ!
あっ。ギルドの扉思いっきり突き飛ばして開けちゃったけど、大丈夫かな……。
まぁいいや。あっちが私を怒らせるのがいけないのよ、きっと、たぶん、めいびー……。
ゲーム時の全てのアイテム、所持金があるのは確認済み。その気になれば一生働かなくても暮らせるくらいにはある。
今急いで依頼を受ける必要もない。
でも……折角だから……。
「王都……行ってみようかな?」
取り敢えず今日は宿探しね!
「おじさん! そのお肉頂戴!」
「あいよ! 銅貨三枚とちょっとお高いが、味は保証するぜ!」
赤身の肉にピンク色の脂身という変わったお肉だけど、とっても美味しそう。
今日だけの特別なお肉なんだとか。
「ありがと! んぅ~!! とっても美味しい!」
「そいつぁ良かった! また来てくんな!」
はっ!? 美味しいお肉で忘れてた! 宿屋探さないと!
「おじさん。宿を探してるんだけど、いいとこ知らない?」
「それならすぐそこに古木の洞っていう古い宿がある。三代続いてる宿屋で飯が旨い。主人の人もいいからお勧めだぞ」
「ありがと!」
根元に穴が空いてる木の看板の目印を見つけ、古くも味がある扉を開けて中に入った。