2話
1話を投稿してすぐに一人ツイッターでいいねしてくれたので残しておいた続きを投稿します
私が今進んでいる道の先には、大きな城壁に囲まれた都市が見える。
アリアンテス。アリアンテス領の領都であり、領で取り扱っている物は全て揃う物流の要。王都へと向かうためには、例え戻ることになろうともアリアンテスを通るべきだとまで言われている。
アリアンテスは侯爵領で、領主は善政を敷いているようだ。領主が把握している領民は全て豊に暮らせることを約束されている。領主は自身で商会を持っていて、その商売でも設けているらしい。その一部を領民に還元しているとか。
「さあ、着いたぞぉ。ここがアリアンテスじゃ」
先程の情報は全てこのお爺ちゃんから聞いたものだ。やっとのことで森を抜け、道を一人で歩いている所を拾って貰った。
お爺ちゃんもアリアンテスに村で取れた野菜を届けに向かう途中だった。
荷車に乗ってから暑くてヘルムを外した時は驚かれた。私の事はドワーフだと思っていたらしい。
乗せてくれたお礼に道中の護衛を引き受けたけど大して強くもない狼が二匹襲ってきただけだった。
お爺ちゃんから聞いた話だと魔物が出てくるのは稀らしく、襲われるのは野生動物が殆どだそうだ。それでも被害は大きく、時々増えすぎたら討伐しているとか。
大きな門の前には、革鎧を着た兵士が一人と金属鎧の兵士が一人立っていた。
「む……。ルワン村の爺さんか。後ろのは誰だ? 孫か?」
「お嬢ちゃんは村から少し離れた所の森から一人で出て来たんじゃよ。ここまで歩くと言っておったから乗せて来たんじゃ」
「そうか、見事な鎧だが……貴族? いや何処か大きい商会の子供か? だが……」
カチン。
「失礼ね! 私はこれでも成人してます!! 鎧は自前です!」
「し、失礼しました!!」
ビシッと敬礼して謝罪する革鎧君。見た目では漸く二十歳といったところだろうか。
「貴族の子供でも商会の子供でもないから覚えておいて」
「わかりました!」
そもそも貴族や商会の娘が、一人で狼なんかが出る森に行くわけないでしょうに。
あれ? さっきまでいた金属鎧の兵士がいない……。
そう思っていたら門が大きな音を立てて開き始めた。門の間から金属鎧の兵士が出てくる。
開いたのは門の片方の扉だけだが、荷車が通るには十分な幅があった。
「門は開けましたぞ。お通りください。……おや? どうされました?」
「なぁに。この坊主が嬢ちゃんに失礼な事を言っただけじゃ」
「む、それは失礼した。これは私の息子なのです。どうか許してくださいませんか?」
父親兵士は息子兵士の頭を下げさせる。
「「申し訳ございませんでした!」」
「許します。今後人を見た目だけで判断するのは止めてくださいね。門番としても、ね」
「以後気を付けます!」
私は兜を着けなおし、荷車から降りる。
「それじゃぁの。嬢ちゃん」
「お爺ちゃん。ありがとうございました」
ゆっくりと去って行くお爺ちゃんを手を振って見送ってから、都市の真ん中の方へと歩き出した。