009・改造(4)
人間からロボットに変換させられていく作業の中で、このような酷い目に遭うきっかけを愛莉は思い出そうとしていた。すると、あるライバルの顔を思い出した。あいつはたしか、同じ大学の研究班に在籍していた・・・名前が出なくなっているわ! 自分の記憶も改変されているのかしら? そんな恐怖に襲われた!
「もう少しで、人間をすて機械に生まれ変わるわよ! 全身拘束刑といっても本当は私が受けたいぐらいだわ! だって素敵と思わない? メンテナンスさえ行えばほぼ半永久的にグッドなボディでいられるのよ! 歳をとってお肌のお手入れ面倒になったなんて言わなくてもいいのよ! 羨ましいわね! 」
柴田技師長の嫌味なささやきを聞いて愛梨は。お前が自分でやれ! そういいたかった。刑罰として受けているというのに! 好き好んで機械に改造してもらう嗜好の人もいるようだけど、自分は絶対なりたくないのに、ロボットなんかに! それなのに・・・
愛莉は身体も意識も溶けてしまう感覚に襲われた。どうやら人間ではなくなったようだ。機械と生体が融合した一種の機械生命体という名の道具にされてしまったようだ。もう山村愛莉という人間ではなくなった。今はヤマムラ・アイリという国家が所有する多目的ガイノイドの一体としてリボーンしたようだ・・・
意識も遠くなっていった。意識が薄くなっている間分かったのは、身体がロボットにしか見えなくなるように、金属的な質感を持つ外骨格に覆われていく事、内臓がロボットの部品に改造されること、そして大脳皮質がナノマシーンによって電脳化され、機械生命体的な動作しか出来ないようにされていくことだった。もはや、道具でしかない自分の存在を嘆きながら、愛莉としての自我は消失した・・・
愛莉の身体は機械に変えられてしまった。少し前までは血肉が通っていたが、疑似生体組織で構成されたロボットにされてしまった。