006・改造(1)
愛莉の訴えなどお構いなく柴田技師長による全身拘束刑の執行がすすめられていた。執行が終われば人間とし扱われなくなり、国家が所有するロボットの一体にすぎなくなる。そのため執行と同時に愛莉の住民登録の抹消が刑事局によって行われ、法的には愛莉は存在しないことにされた。
一連の作業の中で、犯罪者として処罰されるデモンストレーション、すなわちロボット化が愛莉に施された。抵抗できないように意識を保ったまま動けなくなる薬物を投与された。意識を保ったままにされるのは、自分が犯した罪を自覚させ、また自分が全身拘束刑に処せられているのを十二分に認識させるためであった。それには愛莉は涙を流すほかなかったが、口には#猿轡__さるぐつわ__#のような器具をセットされ、両手両足を拘束具で固定された。
それは#磔__はりつけ__#にされたような姿であった。この時、意識を失わなかったのが後々まで後悔してしまう目に遭う事になった。その様子はまるで食肉に加工される家畜にでもなった気に愛莉はなった。さきほど法的に人権を保障すべき人間でなくなったので、動物扱いであった。
「説明だけはしてあげるわね。あなたの身体をこれから改造するわね。機械と融合させてあげるわよ。ちょっとおしいわね。あなたのように綺麗なお肌、無くなってしまうのね。でもねガイノイドになったらそんなことは考えられなくなるわよ。あなたの記憶はデータ化されて残るけど、自由な自我など刑期中は無くなるからね。素体の由来ということしか意味はなくなるしね」
そういって柴田技師長は愛莉の顔から胸を触っていた。その姿はこれから処刑される娘のように座らされていた。これから人間としての身体を失うから、処刑に等しかった。
愛莉は両手両足を固定された後で。着ていた服を全て脱がされた。このように出来るように裁判所から護送される時に安物の囚人服に着替えさせられた理由がわかった。人間でなくなることを自覚させるために、こんなひどい仕打ちをするのだと。愛莉は抵抗できないまま、ハダカにされた。この措置室にいるのが女性しかいないのがせめてもの救いだった。人間としての服を奪われた愛莉は、機械の素体でしかなかった。