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冤罪! 全身拘束刑に処せられた少女  作者: ジャン・幸田
第二章・学園にガイノイドとして戻る
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037・仮想空間にて(3)

 淳司は別の新聞記事を出して来た。それは例のスキャンダラスな事件を報じるもので、愛莉が漏洩したとされたデータであった。


 「知っての通り、君はこの新聞記事で国家機密漏洩罪に処せられたわけだ。まあ報道では大して触れていないが、全世界に公開された情報は、人道に反する人体実験をしたと十分に批判されるべきだな。でもね、本当はこの情報はデゴイなのさ!」


 そういって淳司が手に持ったのは水鳥の人形だった。


 「なんでそんなものを持っているの?」 愛莉はその人形に手を触れてみると木でできていた。


 「これはデゴイといってな、猟師が水鳥をおびき寄せるために使う#囮__おとり__#なのさ。要は、誰かを陥れるために制作されたものなのさ。国家機密として非公開になっていて漏洩していない部分を確認するとわかったのさ。最後の方に実行したものではないとある。要はそんな人体実験を誰もしていないのさ」


 愛莉はその記事を確認してみた。その記事によれば生物兵器に人間を改造するため遺伝子操作をした人造細胞を移植する臨床実験を、麗華民主共和国で行ったとあった。それに国防省の戦略自衛隊幹部が関与したとあった。でも、それが実行されたものでないとすれば、なぜ全て公開されないのだろう? 実際にしていないのなら!


 「それじゃあ、なんで私が国家機密漏洩罪に問われるのよ! おかしいじゃないのよ、中途半端に漏洩されるのは、なぜなの?」


 愛莉は少し取り乱していた。すると、淳司は肩を抱き寄せた。


 「それはな、君が解除した暗号によって盗み出したものを誤魔化すためさ。君を陥れた連中は、君のここが欲しかったのさ! ここね!」


 淳司が触れたのは愛莉の髪の毛だった。そーと、優しく撫でてくれた。


 「って、ことは私の脳細胞なの? 本当に? でもただの女の子なのよ、私は!」


 愛莉はそういいながら思わず淳司の胸に顔をうずめている自分の方に驚いていた。思わずなんてことをするんだと!


 「ただの女の子ねえ、そう思いたいんだろうね君は。君は気が付いているんだろ? 目に見える物理法則全てを数式で即座に理解しているんだと。例えば、雨粒が落ちてきたらどの程度の高度から落下したとか速度なんかを割り出せると。それと、聞いた音楽を数式に置き換えて自分ですぐ演奏できたり、絵画を見て構図が数式に見えたりするんだろ? それって超高性能AIが数百万回演算して初めて分かる事なんだよ。君は異常な解析能力を持っていることに気が付いているんだろ?」


 淳司はそういったが、愛莉も自覚は少しあった。他の人にはない自分の能力を。学校の成績では計測できないものを持つことを。普通の人間は物理の数式で物事を理解できないと知った時は自分の方が驚いたことを思い出した。



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