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冤罪! 全身拘束刑に処せられた少女  作者: ジャン・幸田
第二章・学園にガイノイドとして戻る
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031・闇の司法部

 ”闇の司法部”というのは、ここ帝央大出身者の同窓会の中でも法曹界や政治家のエリートのことであった。その存在を知っているのは、ごく限られていた。その構成員は検事、判事、弁護士のほか、政治家や一部財界人であり、陰でこの国を動かしていると噂されてきたという。従来は相互補助活動であったが、近年この国で大きな影響を与えた政策を推進していた。刑務所の新たな囚人の受け入れ停止と、人体の機械化や人造人間導入の推進だった。


 前者は犯罪者の高齢化に伴う養老院化の是正と、後者は少子高齢化によって不足している労働者を補う手段として、サイバノイド技術による障碍者や高齢者などの肉体強靭化と、アンドロイドやガイノイドの導入促進などであった。その政策が融合したものが人体拘束刑の導入であった。


 それらの政策は死刑制度の廃止を求めてきた、いわゆる人権派と呼ばれる立場から、一部人類の機械化奴隷に陥れるものとして反対が根強かったが、反対意見が多くても国益に叶う政策だとして与党によって強行採決によって施行が決定したが、その強引な動きをしたのも”闇の司法部”だったといわれている。


 そんなことを丹下教授はこっそり真由美に教えていた。それにしても大学教授という人種、いや教師という存在は質問されたことを逸らすために、関係がありそうな別の話題をするのかと、愛莉は呆れて聞いていた。まあ、質問を質問で返すような連中よりかはマシであったが。


 「それで、愛莉さんはどうなったのかご存知ではないのですね? ただ”闇の司法部”が関与していると」


 真由美は長い説明を理解しようと頑張っていたが、なんとなく分かった事があった。愛莉はもしかすると全身拘束刑にされたのではないかという疑念があるということを。


 「そうなんだあ、わしの教え子の・・・名前は言えないが、どうもこの大学に人体実験している連中がいるという噂があってな、その山村愛莉さんは脱法的な手続きで、刑罰を受けているのじゃないかというんだよ。詳しくは分からないが・・・だからな」


 「だから?」


 「そこのエリーを使っても良いから、彼女を探すのを手伝ってもらいたまえ。なんだってガイノイドは人類の奉仕の為の存在だからな!」


 それを聞いた愛莉は思いきり二人にぶちまけたい衝動にかられたが、それは出来ない事がもどかしくて仕方なかった。

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