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冤罪! 全身拘束刑に処せられた少女  作者: ジャン・幸田
第一章・全身拘束刑に処せられた少女
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003・連行

 彼女が宣告された国家機密漏洩罪の最高刑はかつての無期懲役に相当する「全身拘束刑30年」であったが、その最高刑が確定した。偽りと言える法廷であっても。これから彼女の身体は全身拘束刑の名のもとに機械と融合させられることになった、全身拘束刑に処せられた・・・


 実際に愛梨がやったことといえば、大学の教官と同級生から提示された暗号解除をしただけであり、国防省の機密ファイルからとある極秘資料を盗み出し、ネット上に拡散したのは別の人物であったが、全ての行為を愛莉一人がやったことにされた。愛莉はなにが漏洩したのかを知らなかった。


 偽りの法廷から連れ出された愛莉が向かっているのは刑務所ではなかった。少し前に全身拘束刑の執行の様子を見せられたが、あんな機械の身体にされるのだと思うと憂鬱であった。現在、新規に囚人が送られることはなく、全身拘束刑の措置を受けるのは特別な執行設備であった。


そこで愛莉の身体をロボットの内臓にするわけだ。近年の身体改造技術の改造の進歩により、サイバネティクス技術による人体の機械化は特別なモノではなくなっていたが、全身拘束刑の、とくに重罪犯は機械と外観がかわらない姿にされ、人類に奉仕する機械労働者階級に落とされることになっていた。まさに奴隷階級にされるというしかないものであった。


 機械にされて働かされるのは嫌! 愛莉は心の中で叫んでいたが、身体は硬直していてもはや感情表現はできなくなっていた。彼女はもう人間ではなく、機械の材料でしかなくなっていた!


 全身拘束刑は人間も捨て、身も心も機械にしてしまう死刑に等しい厳罰! 彼女はこれから人を捨てモノに生まれ変わろうとしていた! 彼女の硬直した身体は猿轡をされ目隠しされ、そして乱暴に扱われてまるで死体袋のようなモノの中に入れられてしまった。


 「これから機械になりましょうね。そうそう、必要のない事をしゃべらないように口が利けなくなる薬物を投与するわ。おとなしく機械になりなよ!」


 袋の中で聞いたその声に聞き覚えがあった。たぶんその声の主は愛莉を陥れた者のようであった。機械化執行官にしゃべられたら困ることがあるようだった。袋の上から無造作に注射針が打たれ愛莉は人間としての声を失ってしまった。

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