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冤罪! 全身拘束刑に処せられた少女  作者: ジャン・幸田
第一章・全身拘束刑に処せられた少女
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015・自我の再構成

 全身拘束刑に処せられ機械化された元人間には自我は存在しなかった。他の超高性能AI搭載ロボットと一緒の扱いをするためだ。自我があるとすればある程度の人間らしさを残すことを選択した、自ら望んで改造された者ぐらいだ。アイリは刑罰でガイノイドになったので、自我はブロックされていた。そんなもの不要だから、しかし、その自我に男は用があるようだった。


 「ガイノイド・アイリ! いや山村愛莉ちゃん。ちょいと君の自我に確認したいことがあるんだよな。そうそう俺は#長崎淳司__ながさき じゅんいち__#といってな、とある政治家のお偉いさんの使い走りでな。そのお偉いさんに頼まれてきたんだよ。これからすることは全身拘束刑に処せられた連中が聞いたら驚くような事だからな!」


 淳司のいっている意味はアイリには該当するデータなしなので判別できなかった。彼が持っているUSBが頭部に差し込まれ、彼が持っているタブレットで何か操作すると、おかしなことが起きた。アイリの中に愛莉の人格がプログラミングされるではないか! 素体の記録でしかなかったデータが書き換えられていった。


 アイリの電脳内に人間の愛莉の人格が再構成された。自我が形成されたわけだ。それにはアイリは混乱した! 同じガイノイドの中に機械と人間の二つのパーソナルが同時にあるのだから。この固い塊の中にある人間の意識・・・なんておかしいことなんだよ! そう感じていた。すると淳司は何かに気付いたようだ。


 「おーと、とりあえず再統合してあげないといけないな。愛梨ちゃん! 君はとりあえずガイノイドのアイリだけど、人間の愛莉ちゃんと同一人物にしておかないと、ややこしいからね。あとで、細かい設定するから・・・取りあえずあえずな」


 そんなことを言う淳司という男の風貌はチャラけた印象でしかないとアイリは認識していた。人物判断プログラムによれば彼は ”日本人、金髪に染めている、耳にピアス、年齢30代半ば、眉が薄い、着ているモノから判断してフリーランスのような自由な職業、予想される性格は自由奔放で楽天的、かつ女たらしかも”といったものだった。それになんか軽そうなやつにしか感じなかった・・・でもなんで、主観的な感情があるのよ? アイリは戸惑っていた! その時、徐々に愛莉の人格と再融合するのがわかった。すると何故かアイリは機械のような話し方ではなくなった!


 「ちょっと! なにをしたんだよ! あたいに! せっかくロボットになっているのに、思い出させないでちょうだいよ! こんな作りものの身体にされたという傷心を抱くじゃないのよ! ほんとうに、そこのオバサンって悪女だわ!」


 アイリは詰め寄っていた。でも、それは人間に危害を加えかねないガイノイドにあるまじき行動だった。すると淳司は満足そうな顔をした。

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