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54 封印された場所の理由

 カレンはいくつかの草花を手に取りパックラインに確認する。

 手に触ると光り輝く、しかしその輝き方はバラバラで本当に採取して良いかを確認してるのだ。

 パックラインはカレンの探し当てた草花を見て、小さく頷くと片方を指差し、小さなナイフで刈り取った。

 光が弱いほうは首を振り、それよりも光っているほうを指差し小さく頷く。

 基準を教える事でカレン一人でも採取できるようにするためだ。

 カレンとパックライン、二人で特別な草花を取る事すこしの時間が過ぎた。



「疲れたーっ」



 カレンは屈んでいた腰を真っ直ぐにして空を眺めた。



「仕事的には簡単なんだけどねー……」



 普通の薬草取りと同じく地味な作業である。

 問題は魔法の草花の見分けが出来るが出来ないかの違いだ。

 封印された場所というのに中庭から見える空には太陽の光が差し込んでいる。

 少し離れた場所でパックラインは黙々と作業をしているのが目の端に映る、カレンは手持ちのカバンを確かめた、採取用のカバンにはまだ半分ぐらいしか溜まってい。


 辺りをみても光が多い草花は数か少なくなっていた。

 全部採取して良いのか悪いのか、カレンは作業をしているパックラインの背中に大声で声をかけた。



「パックさーん。もう良さそうな草ないんですけどーーっ」

「…………」



 無言で振り向くと、立ち上がりカレンのいるほうを眺めてる。

 パックラインの周りには妖精が飛び回り、小さくあざ笑っている。

 パックラインは不機嫌な顔手で青い羽の妖精を跳ね除けた、遠くにまで吹き飛ばされた妖精は気に留めた様子も無く笑い出す。



「場所を変えたほうがいいな」



 一言喋ると、カレンを置いて一人先に進み始める。

 残されたカレンは、パックラインの背中を見ているのだが、我に返り慌てて付いていく。



「ちょっとっ! 先に行くなら行くって言って下さいっ!」



 パックラインは無言で進み、カレンは慌ててその後を付いていく。

 遺跡内を歩く二人、先ほどまでまとわり付いた妖精は先ほどの場所から付いてこずカレンはキョロキョロしながら進んでいた。



「この遺跡って元はなんなんですか?」

「…………」

「この遺跡は普段封印、してるんですよね?」

「…………」



 相変わらず会話をしないパックマインに、カレンは頬を膨らせて付いていく。

 細い道を通り抜けると、大きな広場に着いた。

 先ほどよりも広い開けた場所、同じく空から日の光が差し込んできていた。

 先ほどと違うのは花畑は無いが円形の大きな石リングが設置されている。

 カレンが自らの腕を触ってはそわそわし始めた。



「なんか体が熱い感じがする……」


 

 カレンが小さく呟いた言葉に、反応したパックライン。



「ほう。わかるのか。ここは先ほどの場所より魔力が多い。魔力を扱う者によってはその影響があるのだろう。魔力が高ければ高いほど、魔法は威力を出せると聞いている」

「へえー。あの丸いのはリング……ですよね、何か大きな穴あるんですけど」



 カレンの指差すリングには中央に大きな穴が開いており、それの事を言っている。



「元闘技場と言うべきか、地下には大きなダンジョンがあると聞いている。負けた方はダンジョンに投げ込まれダンジョンの魔物に食われると教えてもらった事がある。あの穴は地下から化物が出た時に開いた物らしいな、命が惜しいなら近付かないほうがいい」



 カレンは眼を細めるとパックラインへ、「あの。安全なんですよね?」と、問いだ出す。

 パックラインは、採取に取り掛かろうとする手を止め振り向いた。

 その顔は、何馬鹿な事を言ってるんだ。と言っているのが喋る前から解かる。



「この場所自体が封印されていた場所だ。安全なわけが無い、それより手を動かせ」

「危険なんですかっ!」

「良く考えろ人間」



 カレンから人間と呼び名が降格され、カレンは膨れっ面になりながらも作業を開始した。

 少なくともパックラインがいる以上、穴に行かなければ平気なのだろう。

 もう少し愛想して良くてもいいのにと、小さく呟くカレンであるが、決して手を抜く事はなく、光っている草花を刈り取っていった。


 カレンが休憩しませんか? と伝える為に立ち上がった瞬間、景色が揺れた。

 立眩みかとおもったが地面が揺れている。段々と揺れが大きくなり立っているのも困難なほどになってきた。

 慌ててパックラインの姿を探し叫ぶ。



「パックさんっ!」

「近くの物に捕まれっ」



 パックラインは最後まで言葉を発さない。揺れは大きくなりパックラインの居た場所が一瞬にして消えた。

 カレンから見てパックラインの姿が完全に見えなくなった時、穴から一筋の黒い魔法が這い出てくる、魔法は黒いムチとなり近くにあった柱へと巻きついた。

 カレンは慌てて、黒い魔法のムチが巻きついた柱の方へと向かう。



「パックさんっ! 柱がっ!」



 巻きついた黒いムチの威力が大きいのが、柱を粉砕しようとしていた。

 カレンが走る中、黒い魔法のムチが柱を粉砕した。そのまま地面を滑るムチ、穴に落ちる寸前でカレンはその黒いムチを掴むと自分の手に巻きつける。

 体は引きずられて、パックラインが落ちた穴ギリギリで止まった。

 カレンがパックラインの顔を見つけるとほっとした顔になる、次の瞬間カレンの顔が痛みで歪んだ。

 自ら巻きつけた黒いムチがカレンの両腕と手を焦がし始めた、白い煙が両腕、両手から立ち上る。



「離せっ!」

「離したらっ! 落ちるっでしょうがっ!」



 怒鳴るカレンの体勢はスライディングをした形になり、不安定のままだ。

 カレンの両腕が青白く光と、直ぐに黒い魔力があふれ出てきた、パックラインの黒い魔法のムチの上を伝っていく。

 その光景をパックラインは声を出さすに驚いた顔をしている。直ぐにカレンの顔をみるが、カレンは力を入れているのが両目をつぶっていた。


 カレンが腹ばいで堪えていた場所も地面が崩れて行く。

 パックラインは我に返り、再び叫んだ。



「崩れるぞっ!」

「えっ!」



 カレンが気付いた時にには既に地面が無くなり穴へと落ちて行った。 

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