半人半神
パァーーーーーーーッ
「ん?」
朝飯の後、境内を箒で掃除していると神社の鳥居に眩い光が御降臨なさった。
神は来るなり告げる。
「うわっ本当だ!人間じゃなくなってる!」
「天照様、来ていきなりそれですか」
「いや、昨日阿弥陀の奴からメールが来たんだよ、お前の所の宮司が人間じゃなくなったぞって」
「昨日の今日で反応早いな、天照様、それと神様同士ってメールで連絡来るの?」
「いや手紙や伝書鳩も使うぞ」
もう何でもありだな、にしても俺を心配して朝も早よから御降臨くださったのだから神社勤めの宮司としては有難いし、嬉しいものだ。
「で、俺って人間に戻れるんですか?」
「ん〜〜〜〜〜」
天照様がぐるぐると俺の周りを回ると、ポンと手を叩いた。
「うん、無理!」
そんな、あっさりと。
「天照様でもダメなんですか?」
「いや、冥界の連中がやったんならまだ戻せたかもしれんが、お前のそれオリジンの眷属だぞ、無茶言うなよ」
「あ、やっぱ無茶な事なんだ」
ジャリ
「あら、人をそんな化物扱いなんてひどいんじゃありませんこと」
「あ、オリジンちゃん」
天照様がジロリと俺らのもとにやって来たオリジンちゃんを睨む。
「お前なぁ、学を貴様らの案内役にはつけたが人間辞めさせるとは想像してなかったぞ、しかも神格が馬鹿弟と同じくらいあるじゃないか」
「不可抗力ですわ」
オリジンちゃんは開き直ったのか胸を張って答える。
「えっ、俺って神様になったんですか!」
「そんな突然なれるか!正式には100年くらいの間は神格を体に馴染ませないとならんぞ」
「でも、人間には戻せないと…」
「うむ、なんせオリジンの眷属なんて私も初めて見たが、ここまで酷いとは思ってなかったぞ、はっはっはー!」
「酷いって、失礼ですわ」
「まあ、今は半人半神ってとこじゃな、ま、頑張れ」
うわ、ハーフなんて中途半端な存在に。よく物語なんかでは迫害されるんだよなハーフって。あれ、でもそうなると俺が神社の宮司なんてやってていいのか?仮にも半分は神様なんだよな。
「いたしかなたない、諏訪の八坂刀売神にこの神社の管理をまかせよう、そうすればしばらく神社を留守にしても大丈夫だろ」
天照様がアホな事を言い出した、こんなマイナーな小さい神社を諏訪大社に祀られてるメジャーな神様にまかせるなどと、あの女神様に俺が怒られるわ。
「で、よいな八坂刀売神」
「…………天照様の仰せの通りに」
うぉ!いつの間にか天照様の横に八坂刀売神様が控えていて、俺をギロリとめっちゃ怖い顔で睨んでいる。いや、俺が言い出したんじゃないですよ、そこの幼女神が言い出したんですからね、だから舌打ちはやめてください。めっちゃ怖い。
「では、これでガクさんは私の正式な眷属として認めてくださるんですね」
「ちゃんとした神になったら返せよ、一応盃交わしたうちの組員だからな、ケジメはつけろや」
「努力しますわ」
オリジンちゃんがニコニコしながら返事する。
なんにせよこれで俺はこの始まりの吸血鬼オリジンちゃんの眷属と天照様に認められたらしい。
九条 学21歳、めでたく半分神様になりました。
ズドンッ!ゴハッ
あ、この後に八坂刀売神様に神社の裏に呼び出しくらって、腹パンされてあっさり1回死にました。
「あんまし調子こいてんじゃねえぞテメエ!頭の命令じゃなきゃ呪ってんぞ、あぁ〜ん」
八坂刀売神様めっちゃ怖かった、あの女神様へたすりゃスサノオ様にも勝てるんじゃないだろうか。
生き返った後で涙ながらに天照様にチクったら、こうやって何回も死んでいればすぐに神格が体に馴染むと言われました、なんか凄〜く痛かったので神になるのが凄く嫌になりました。
第1章完