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海んちゅ


水平線の彼方から飛んで来た謎の怪光線?それがオリジンちゃんに直撃、炎上するも何事もなかったように復活。

そしてオリジンちゃんを助けようと手を伸ばした俺だが、その余波で右腕が消し飛ぶ、当然だが血が吹き出す、生き物は血を大量に失うと死亡するのだ。






「なぁ、本当に神なのかこいつ?」


俺が目を開けると、覗き込んで首を傾げる角刈りのおっさんが居た。

あ、このパターンか、また死んだのか俺、ぼんやりとしてた意識が戻ってくる。



ゾワゾワゾワゾワゾワゾワッ!


えっ、凄まじいプレッシャーに冷や汗が吹き出す。いやただのおっさんじゃない、これ神様だ、俺の知らない神様?

とんでもない神格だ、これもしかしたら天照様と同格の神様じゃね。


梅宮辰夫を思わせる風貌、日に焼けた褐色の肌、スーツ姿に金のネックレスが良い意味でも悪い意味でもお似合いです、あっ、時計はやっぱりロレックスなんですね、スカイドゥエラーって300万以上する奴ですよね。

一見ヤクザの組長にしか見えないが、俺にはわかる、この人凄い強い神様だ。



「いや天照の奴から海の方に行くみたいだから、よろしくって言われたんだが」


その組長さんが俺を見下ろしながら頭を掻く、ん、天照様を知ってる。


「お久しぶりですわ、海神ワタツミさん」


「おう、300年ぶりぐらいですな、オリジンの姐さんも元気そうでなにより、姐さん博多素通りしたでしょ水臭ぇじゃないですか」



オリジンちゃんと神様の組長と慕しげに話している、えっ、ワタツミ様!


イザナギ様とイザナミ様から生まれた直系、海の神様である海神わたつみ、そりゃあ天照アマテラス様と同格もいいとこだ。日本のトップクラスじゃねえか。

えっ、なんでそんな神様がオリジンちゃんにいきなり攻撃してるの?



「おう、ニイちゃん、新しく組に入ったそうだな、それに天照あまてらす様や須佐男すさのおが世話になってるって言うじゃねぇか、礼を言うぞ」


分厚い掌を俺に向けて差し出して来る、握手しても良いけど握り潰さないでくださいね。

うおっ、手デカい!ゴツい!殴りダコが有る!


「それにしても、八坂刀売神やさかとめのかみの奴が珍しく根性あるって褒めてたから、俺も挨拶代わりにニイちゃんに向けて光線出したんだけどオリジンの姐さんに当たっちまって焦ったぜ、やっぱ得意の水でやりゃ良かったなガハハ」


海神ワタツミさん、光線出すの昔からど下手ですものね」


「やっぱ、天照のようにはいかねえわ」


挨拶代わりに初対面の相手に物騒な光線飛ばすなよ、ウルトラマンだって演出上3分は我慢するぞ。



「それにしても姐さんは相変わらずの不死身っぷりですな、とりあえず細胞レベルで消し飛ばすつもりで撃ったんですが」


「あら、そうでしたの?今の私はまだポセイドンちゃんの血のせいで絶対に死にませんもの平気ですわ」


「ハハ、姐さんがあいつの血を吸ったせいで、俺は最近ギリシャと日本を行ったり来たりで大変なんだが」


「それはご愁傷さまですわ」


「そう言えばポセイドンの奴、300年は経ってるのにまだ文句言ってるんだよな、なんであの時助けなかったんだって、あいつ今も杖ついて歩いますぜガハハ」


「あら、ポセイドンさん、あまり嫌がって無かったと思ったんですけど」


「なぁ、思いっきり鼻の下伸ばしてたよなガハハ」


オリジンちゃんと海神わたつみ様がなんか聞いちゃいけない会話をしている、オリジンちゃんに吸血されたのってポセイドンなの、思いっきり超メジャー神じゃん。

俺は残る冥界神トリオに話しかける。


「ねぇ、アヌビス達はさっきの海神わたつみ様の攻撃耐えられるの?」


「「打ち返す!」」

「…避ける」


「なるほど、コイツらでも直撃はやばいと考えちゃう攻撃だったと」


そんなもん、まだ半神半人の俺なんか耐えられるわけないじゃん。




「まぁ、それは良い、姐さん達は今夜の宿はもう決まってるんすか?」


オリジンちゃんが俺に視線を向ける。成り行き任せの旅だから宿とか考えてなかった。


「いや、まだ決まってないです」


俺が答えると海神わたつみ様がニカッと笑う。


「そいつは良かった、俺の氏子うじこがこの近くで温泉宿をやってるんだ、是非挨拶させてやってくれ」


キキィッ、バタンバタンバタンバタンバタンバタンバタンバタンバタンバタンバタンバタン!


海神わたつみ様がそう言うと、道の駅の道沿いに黒塗りの高級車が次々とやって来てスーツを着た厳つい顔でサングラスしたオッサン達がゾロゾロと降りて近づいて来た。


デンデンデデン、デデデデデン


やべぇ、布袋寅泰のギターが幻聴のように聞こえてくる、まるで極道映画の1シーンだ!氏子?組員の間違いだろ。


「「「「叔父貴、お迎えに上りやした!」」」」


見るからにカタギじゃないオッサンどもが揃って海神わたつみ様に頭を下げる、う〜ん、どうして日本の神はこう武闘派揃いなんだろう。


「おう、ご苦労。世話になるぞ」


海神わたつみ様がオリジンちゃんの隣に立つ。それにつられて俺もその横に。


「今日はこのオリジンの姐さんとその眷属のニィちゃんも泊まる、俺でも絶対に勝てないお方だ、くれぐれも失礼のないようにしろ。あと貴様らには見えんが後3人ばかり異国の神が居るからそのように」


あぁ、そい言えば海神わたつみ様は姿隠してないんだ氏子?の前だしな。冥界トリオも顕現すれば良いのに。


黒スーツで金バッチをつけた1人がサングラスを取って頭を下げる。


「では叔父貴は私の車にお乗り下さい、姐さん達は私の車について来てくだせぇ」




北陸自動車道を連なって走る黒塗り集団は、米山ICで降りると海岸沿いの8号線で柏崎に向かって車を走らせる。

すっかり陽の落ちた夜の道、窓から潮の香りがするのが心地よい。



「そ言えばオリジンちゃんは海神わたつみ様と仲悪いの?いきなり攻撃されてたけど」


「あぁ、あれは単純に挨拶ですわ、私やその眷属があの程度の攻撃で絶対に死なないとわかってるでしょうから」


細胞レベルで吹っ飛ばす攻撃が挨拶って…。


「俺は巻き添えで1回死にましたけどね」


「アハハ、私の眷属ですもの、あれくらいすぐ復活出来るでしょ」


「まぁ、最近では随分と再生するの早くなりましたけど、痛いものは痛いんですよ」


「あら、着いたみたいですわよ」




柏崎の港を見下ろすように建つ豪邸、えっ宿って言ってなかった?



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