目がさめるとそこは異世界だった。ー1
こんにちわ、終焉の焔です。
まったり日常モノで、日常:戦闘=9:1ぐらいになる予定です。
ラブコメ:シリアスは8:2ぐらいですかね。
まあ、ブックマークとうよろしくお願いします。
最大手VRMMORPG、クロス・グングニル。
日常生活から魔物との戦闘、国家間PVP、国家運営、その他『なんでもできる』をキャッチフレーズにここ数年の内にその規模を急速に拡大した期待の新星といったようなVRMMORPGだ。
その因果からか、年齢層も小学生から、中高年までと幅広い。
豊富なイベント、丁寧な運営サポートなど、クロス・グングニルでは運営の評価も高く、VRMMORPGランキングでも常に上位に位置していた。
だが、そんなクロス・グングニルの中で実しやかに囁かれている噂があった。
「ログアウト不能のデスゲーム!?」
「しっーーーーー!!声が大きいよ!」
クロス・グングニル内の国家アルフヘイムの街、ノーム。
その中央広場の噴水に腰かけて俺とシルフィは話していた。
シルフィが突拍子もないことをいうもので、俺は叫んでしまったのだ。
それをシルフィが諫めるが、周りの注目をもう一身に集めてしまっていた。
「すいません、お騒がせしちゃって」
と、ぺこりと頭を下げると、自分のすべきことを思い出したのか、もう俺を気にするものはいなくなっていた。
「で、なんなんだそれは?」
俺は今一度シルフィを見た。
シルフィはクロス・グングニルで出会った少女で、俺のパートナーだ。
マナー的に当たり前なのだがリアルではあったことはない。
アルフヘイムは妖精の国なので当然かもしれないが、彼女は――俺もだが――エルフのアバターだ。
紫のヴァイオレットサファイアような瞳は彼女の誰とでも仲良くできる明るい性格と相まってきらきらと輝いており、その艶麗な黒髪とよく似合っている。そして、綺麗という形容が似合う整った顔立ちは白く透き通るような肌であることもあって、なにか芸術品に描かれた少女であるかのようだ。
シルフィは悪戯っぽく片目を閉じて、人差し指を可愛らしい唇の前に立てる。
「ここから先は他言無用だよ」
「ああ、もちろん」
シルフィは少しの間を置く。
俺の覚悟を図っているのだろうか?それならば、別に大丈夫だ。
誰かにほいほいというつもりなど毛頭ない。
沈黙が重くのしかかる。
周りの雑音が遠く聞こえた。
「毎週火曜日、夜12時ピッタシに、各国の第二首都のあるポイントにいると、強制転移が起こるんだって。それでその転移先では、クロス・グングニールの裏ラスボスって言われてる赤竜ヘルドファフニールが居て、そいつを倒すまでは元のワールドには戻れないらしいわ」
「へえぇ……で、それを俺に話すって事は……嫌な予感がするんだが……」
今日は火曜日。そして、まだ夜の7時だ。
第二首都まで転移装置を使わず、歩いて行ったとしても十分に間に合う。
「うん、ナギくん頑張ろうね!」
その笑顔は眩しい程に輝いて、俺は拒否する事が出来なかった。