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ピンクは淫乱、これ譲れないね

乙女ゲームのヒロインの特徴は様々だ。

大体は茶髪が多いイメージだけど、ピンクもそこそこ存在する。 


そう! この『LOVEは戦争☆ラヴァーウォーズ』、略して『らぶせん』のヒロインもピンク髪なのだ。

ピンクは淫乱という言葉がある通り、この乙女ゲーにも当然のように逆ハーエンドが存在する。


ゲーム好きなリズレルじゃなきゃ、見逃しちゃうね、攻略wikiで見たんだ!


別にリズレルはヒロインたんが淫乱ビッチであろうが、イケメンハーレム作ってようがどうでもいい。

リズレルは無害で可愛い、ちょっぴり頭の良い悪役令嬢です、とヒロインたんに言い聞かせて、どうにか俺様DVヤンデレ腹黒暗黒微笑王子を引き取って貰い、処刑を免れなくてはいけない。


正直、王妃候補とか面倒だ。今現在、王妃候補(有力)ってことは、私は俺様DVヤンデレ腹黒暗黒微笑王子……もう面倒くさいので略して、俺様王子の為に何で、勉強したり他国の事を調べたり、外国語を覚えたり、ダンスのレッスンだとか、お稽古ごととかしなくちゃいけないのだ。


そんなの、やだぁい!


せっかくダンジョンというシステムを自由に操れる程度の能力を持って生まれてきたのだ。

好きに生きて、好きに死ぬよ!

民を守るとか、お国の為にとか、高潔な心を私が持ってるはずないもん!


で、でも、ゲームとは違って王子様が本当は心の優しい笑顔の素敵な男性だったら……?

それだったら、考えて、あげなくもないけど……。


指先同士をつんつんと合わせて、もじもじするリズレル。


昨夜出かけたまま未だ戻らぬサリューシュ。

何でも桃色髪美少女が八十人ほど見つかり苦戦しているようだ。淫乱多すぎぃ!


そんな彼女の帰還を待っている間に父上に言われて、王子と顔合わせをする為にわざわざお城までやってきたのだ。父上もリズレル盛装し、時折、横を通り過ぎた城の兵士が惚けた様子でリズレルを見た。


リズレルは中身が残念そのものだが、見た目は立派な美少女! 

そして金髪ドリルは美しい曲線を描いている。

今の私は絶対無敵な美少女、誰にだって負けはしないもん!


兵士が見惚れ、業務を怠る度に父が威嚇する。それを上品にくすくすと笑いながら、諌めた。


「お父様、約束の時間に遅れてしまいますわ」


それに可愛い美少女に見惚れちゃうのは仕方がないことだもの、パパぁ!

見るのは無料なんだから! 見ていいのよ! 私輝いてるもん!


「う、うむ。それもそうだな。さぁ、急ぐとしよう。可愛い我が娘よ」


「はい」


鈴が鳴るような声で頷くリズレル。

こりゃ兵士達にガンガンフラグ立っちゃうね! このロリコンどもめ!



王の間に案内されたリズレルは挨拶もそこそこに、王子と顔合わせをした。

父と王は何やら秘密裏に話したい事がある様子で、奥の部屋へと消えて行った。


その場に残ったのは私と、王子と、その他諸々の兵士や侍女達である。王子は王の背中を追っていたが、私へと向きなおった。太陽と見間違いそうなくらい輝かんばかりの金髪に翡翠の瞳。美しく整った面立ち。

まさに童話の中の王子様が現実に抜け出してきたビジュアルの彼こそ、『らぶせん』のメインヒーローにして、俺様DVヤンデレ腹黒暗黒微笑王子。

愛に盲目過ぎて、私を処刑しちゃうポンコツ野郎ローレン・メイヤールだ。

王家ならもっと名前長いんじゃね? と思われるかもしれない。

この世界は何ちゃって中世ヨーロッパ風の世界で、世界観も曖昧でほわほわな乙女ゲーの世界。

細かいことは気にしちゃダメなのだ。


「貴下がラル家の娘、リズレルクか」


「お初にお目にかかりますわ、メイヤール殿下」


王子のぞんざいな口調、冷たき視線が体を突き刺してくる。

普通の子供だったら、泣いてしまいそうになるくらい、冷酷な視線。

まるで私を敵視するかのようだ。どうしてそんな風に私を見るのだろう?


王子の態度にもめげず、健気に、淑女らしい礼儀を完璧してみせるリズレル。


今更だけど、私はピチピチの十歳の少女だ。


『らぶせん』のゲームの舞台である学園編は十五歳から始まるのだ。

正直十五歳で、六人もの男を手玉に取るヒロインに今更ながら戦慄を覚える。


確か先生も落とせた気がする。ゲームの世界が現実だと、このロリコン野郎と罵りたくなるもんだ。

あだ名の入力画面があれば最後。イケメン攻略キャラにあだ名を呼ばれるのをウキウキして待ってたら、おじさんにあだ名で呼ばれた日を私は決して忘れない。


おっと、いけない。私の脳内思考はすぐに道を外れる。

つまり私は十歳。王子も同い年なので十歳なんだ。

現代でいえば、小学五年生くらい。だから、ちょっとくらい酷い扱いされても、十歳なんだもん。

仕方がないよね、と器の大きなリズレルは許せちゃうのだ。


「……俺にはわかる。幼き頃より、己に近づく邪なる悪が。貴下からは純白の欠片すら見えない。

よくもこの世にここまでおぞましい存在が居たものだ」


なんやこいつ、ぶっ殺すぞ。


「お前が俺の婚約者だとはね、父上も見る目がないものだ。もういいぞ、下がれ」


よっしゃ、王国滅ぼしたろ。

引き攣りそうになる口元を何とか優雅に笑みを作らせることに成功したリズレルは淑女なので文句も言わず、別れの挨拶をしっかりし、(もちろん挨拶は返されなかった!)その場から離れたのであった。


あそこまで悪意を隠さずぶつけてくるだなんて、さすがのリズレルも初めての体験である。

もしもサリューシュが聞いたら、王子はミンチになってただろうな。


どうして悪役令嬢ものは王子が険悪な態度を取ってくるか、溺愛のどっちかなんだろう。


やんなるぜ!


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