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3話

 昨日は私が『ラッキースケベ見せてあげる』とか言っておいて彼を怒らせてしまった。 そのせいで彼とちょっと会いにくくなった。 別段、彼に会いたくてたまらないというわけでもないから寂しいとか思わない。

 ただちょっと気がかりというか、ひっかかることがある。

 

「というわけで相談に乗ってほしい」

「おごってもらった以上相談には乗るけど、ちゃんとした答えは期待しないでよ」


 サークルの女友達に「ごはんおごるから、相談に乗って」と頼んでみたら、二つ返事だった。

 ごはんに箸をつけるまえにちゃんと「いただきます」をしてから、白いごはんに箸をつけた。 「それで?」ともぐもぐしながら、話を促した。


「彼と私の関係ってどう思う?」

「あぁ……、正直に言ってほしい?」


 こくんと頷いて答えた。 それから彼女は口の中を空にして言った。


「あくまでもあたしから見てだけど、友達以上恋人未満に見える。 悪いけど、付き合ってるようには見えない」

「そうだよねぇー」


 自分でもなんとなくそんな感じはしていたから、こんなこと言われてもショックは受けなかった。 彼女は言った後、私の顔色を気にしていたけどニコって笑って「大丈夫だよ」と見せた。 それからほっとしたようにまたごはんに箸を伸ばした。

 

「これから講義あるから先いくわ」


 ごはんを食べている彼女にそう嘘を伝えて、私は彼がいる部屋に向かった。

 自分の気持ちを整理するために。 彼の気持ちを知るために。




 彼の部屋に行くと、彼はラーメンをゆでていた。 昨日のことはもう忘れたかのように「食べるー?」と呑気に聞いてきた。

 

「いらない。 入ってもいい?」

「別にいいけど、ちゃんと食わないといつか倒れるぞー」


 彼の小言を聞き流して、漫画も取らずにベットの上に座った。 そこで話すことを整理していると、彼がラーメンとバナナを持ってきた。 「どうせ、昼なにも食ってないんだろ?」とバナナを私に押し付けて彼はラーメンを啜り始めた。

  

「なにか言いたいことでもある?」

「わかるの?」

「お前と一緒にいる時間が多いからね、それぐらいは」


 「あと、今日おまえ変」とからかうように言わらたけど、反論する代わりにいま胸に抱えていることを言った。


「ねぇ……私のこと好き?」


 彼は少し考える素振りをしてから「好き……だよ?」とどこか迷っているように答えた。

 

「本当のこと言って!」


 私はつい怒鳴るように強く言ったけど、彼は自分のペースを崩さずにのんびりとラーメンを啜りながら素直な気持ちを言った。


「正直なことを言うと、好きって感覚が分からない。 あの娘かわいいなとか美人だなって思うけど、それが好きって気持ちかどうか聞かれると、なんか違う気がする。 でも、お前のことを好きか嫌いかで聞かれたら好きって答える」


 「loveの方の好きじゃないと思うけど」と最後に付け加えた。 私も正直、彼が私の事を好意に思っているとは思ってなかった。 けど改めて彼の口からそう言われると、堪えるものがある。 喉が熱くなってじんじんと痛みが走る。 それでも私は彼に問いかける。


「じゃあさ、なんで私と一緒にいるの?」

「楽しいから」と間をあけずに言った。


 「なんとなく」とかテキトーに答えると思っていたから、驚くあまりクスリと笑ってしまった。 彼は照れるように笑った。


「なにそれ、友達以上恋人未満ってやつ?」

「そうかも」


 まいっか。 私も特別彼が好きってないけじゃないし、告白したのもただ話してて楽しかっただけだし。 ……本当は一緒にいれば、もっと楽しいかもって思ってた。 ずっと、ずっと一緒にいればずっと楽しいかもって。

 だからいま彼に言いたいことがある。 


「ねぇ、エッチしよ?」

「それこそ、恋人同士がやることだろ」

「いいじゃん、エッチから始まる恋もあるかもよ?」

「エロマンガの読みすぎだ」


 そんなことを言いながら、彼は私とキスをした。 とんこつの味がした。

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