1話
ちょっとしたエロ単語があります。 そういうのが苦手の方はブラウザーバックしてください。
私は欲求不満だ。
別に一人でできなくもないがせっかく彼氏がいるのにそれじゃあ、もったいない気がする。 だからといって、自分から誘うなんてことはできないから向こうから襲ってきてほしい。 そして早く私の初めてを奪ってほしい。
ま、彼はそんな度胸ないから無理な願いだけど。 一年ぐらい同棲をしても、一度も一緒のベットに入ったことはないし、キスもしてない。 大学生の男ともなると「あぁ、エッチしてぇ」とか常に思ってると思ってたけど、彼はそうじゃないみたい。
それでもちゃんと人並みには性に興味はあるけど、それを彼女である私で発散しようとない。 そのくせ私が寝た後、トイレでなにやらやってるし……。
そんな彼とつき合いことになったのは、大学の講義の時たまたま隣同士の席にされ、なんとなく話が合って、なんとなくご飯も一緒に食べるようになって、なんとなく告白したら、あっさりOKもらって、なんとなく同棲して、欲求不満になっている私と彼。
「そんなに見るなら、ごはん食べれば?」
「肥るからいい」
「俺が食いにくい」
「じゃあ」と口を開けて、あーんを要求してみる。
彼は困った顔をしてお茶を一口飲んだあと「場所を考えろ」と言った。
午前の講義が終わったばっかで、カフェエリアには多すぎるほどの学生が押し寄せていた。 午前中は数えるほどしか人がいなかったのに、今では席に座れなくて空くのを待ってるほどだ。
ちぇ、間接キスができると思ってたけどなぁ。
その腹いせに彼のカツカレーの最後のカツをひったくって食べてやった。
「あっ! おまえ、大切な一枚だったんだぞ……」
「先に食べない方が悪い」
「好きなものは最後に食べる派なの!」
「そんなことより早く食べっちゃってよ。 人増えてきたし、早めに講義室行こ」
「そんなことって……」とブツブツ言いながら、流し込むようにカレーを食べる。
はぁ……、どうやって誘う……。
「スーパー行くぞ!」
今日の講義も終わり、かばんを背負ったところで彼が言った。
「まだ怒ってるの?」
「当然」
昼に食べたカツのことをまだ根に持っているらしい。 講義中も小声で「カツ、カツ」とうるさいし、しまいにはメールも送ってくる鬱陶しさ。 アホらし、講義を聞け。 ひとつの講義だけでもけっこう金かかってるからな。
「タイムセールが始まってからね」
「いーや、できたてを買ってもらう。 食べ物の恨みは恐ろしいからな」
彼の場合は単に精神年齢が低いだけだと思う。 テレビで『男の精神年齢は低い』て言ってたけど、その通りかも。 だったらもっと甘えてくればいいのに。 そっからならエッチにもっていくの楽そうだな……。